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鮮烈なスピード感と、はりつめた空間表現

特徴的な左右スリッド、TADの高級ブックシェルフ「TAD-CE1」

2014年08月29日 16時25分更新

文● ASCII.jp編集部

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TAD-E1とほぼ同等のユニットを利用しつつ、さらに小型に

 高域・中域に同軸ユニット(CST)を使用し、明確な音像定位と自然で広がりのある音場を目指すコンセプトはReferenceシリーズと同等。ユニット構成は直径14cmの同軸ドライバー(3.5cmドームツィーター+14cmミッドレンジ)に、直径18cmのウーファーを組み合わせている。

CSTの構造図。これだけで女性ボーカルをカバーできる。点音源に近い良好な音場や広い指向性なども特徴。

 同軸ドライバーだけで250Hz~100kHzをカバー。8.5オクターブと広い音域で女性ボーカルであればこの部分だけでほぼカバーできるという。スピーカー全体で見た場合の再生周波数帯域は34Hz~100kHz(±10dB)。クロスオーバー周波数は250Hz、2kHz。出力音圧レベルは85dB。インピーダンスは4Ω。

 指向性の広さやつながり感じにも配慮しており、正面から見て120度と広いエリアでも中域と高域がクロスオーバーする20kHz付近などに落ち込みや強調がなく、フラットな特性を得られる。ツィーター部は独自の蒸着法で加工したベリリウム振動板を使用。ミッドレンジにはマグネシウム振動板、ウーファには軽量で剛性の高いアラミド繊維の織布と不織物を何層も重ねたMACS振動板を採用している。

独特な両サイドのスリッドでバスレフを実現

説明用にサイドをアクリルパネルに変更したもの。アルミパネルの下側に内側に弧を描いた樹脂製パーツがおかれており、スリット状のバスレフポートに導かれる

 特徴としては「Bi-Directional ADS」というスリット形状のバスレフポートをスピーカーの両サイドに設けた独特の機構がある。側面から見ると上下に4mm厚で半円型の樹脂製プレートが配置されており、その上に10mm厚のアルミプレートを重ねる構造。一般的なスピーカーのバスレフポートは円形のチューブのようなポートを使用するが、周辺部と中心部で空気の流れる速度に差が出て乱流や渦が生じ、これがポートノイズの原因になる。

空気の流れのイメージ

左右・前後が対象になっており、キャビネットの共振も抑制する

 ポートの開口部は前後・左右対称にレイアウトされており、ポート駆動による振動がお互いに打ち消し合う。これによってポート駆動がキャビネットを揺らすなど悪影響が出ないよう配慮している。またサイドにポートを配置したことはバッフル面積の小型化にも貢献しているという。

ターミナル部分は厚めのアルミプレートも使用しており、太いケーブルもしっかりと固定できる。

 エンクロージャーは木の中でも硬い樺を使用。ただこれだけでは鳴きが生じやすいためMDF材のパネルを組み合わせている。表面の木目仕上げには、美しい木目の「トロピカル オリーブ」の突板も使用。回折現象を防ぐために、角にアールがあるが、突板は前方から後方までぐるりと囲い込んだ1ピースの仕上げだという。塗装を含めてかなり手間をかけた構造だ。

 アルミカバーに関しては、デザインを遊んだ特別モデルなどの投入も検討しているという。音のよさはもちろんだが、デザインの楽しさも魅力的な製品となりそうだ。

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