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大手と異なるビジネスモデルで120%成長の旅工房

2014年08月29日 16時00分更新

文● 伊藤達哉(Tatsuya Ito)/アスキークラウド編集部

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旅工房は主に海外旅行を取り扱う総合旅行会社。2013年度の取扱額は180億円を突破し、前年比130%以上の成長率だ。また2011年度から3年連続で海外旅行取扱額の伸び率は120%を超える。創業は1994年と会社の歴史も深い旅工房がここ数年で成長している秘密は、顧客のニーズに合わせてツアーをアレンジするトラベル・コンシェルジュの存在だ。代表取締役の高山泰仁氏に話を聞いた。

 旅工房の創業は1994年、従業員はわずか2名で格安航空券の販売から事業をスタートさせた。当時はウィンドウズ95が社会現象を起こすほどのブームで「インターネットの可能性は当時から感じていた」と高山氏は振り返る。楽天市場に出店した1997年当時は、1円でも安い航空券を求める顧客が多かったという。
 その後、売り上げを伸ばしパッケージツアーをECで販売。旅行専門誌とウェブサイトの両方で広告を出稿して売り上げを伸ばした。特に観光地を紹介するウェブサイトは、ガイドブック並みの詳しさを追求。パッケージツアーの販売を始めた頃も顧客が重視するのは価格だった。当然、他社よりも安さを優先的に考えて、会社を成長させようと高山氏は考えていた。

旅工房 代表取締役 高山泰仁氏

 格安ツアーから「顧客満足度」へシフトしたきっかけは、2011年の東日本大震災。「被災地に寄付して価値観が変わりました。安売りで売り上げを伸ばしてきたが、少子高齢化による海外旅行マーケットの縮小は目に見えていました。お客さまと触れ合ってリピーター施策を練らないと生き残れないと感じました」(高山氏)。

 2011年からトラベル・コンシェルジュを導入。当時の社員数が100人のところ50人を一斉に新卒採用した。国ごとの専門知識を持つトラベル・コンシェルジュは、電話で顧客のリクエストに応じてツアー旅行をアレンジしたり現地での楽しみ方を提案したりする。例えば、最終日だけ宿泊するホテルの変更や航空会社の指定など基本的なアレンジはもちろん、「中にはホテルの部屋番号まで指定するお客さまもいらっしゃいます」(高山氏)。ウェブサイトにはトラベル・コンシェルジュの顔写真と共に渡航歴も公開されている。顧客は顔を見ながらツアーの相談や現地の情報が得られるので安心が高まる。旅工房はECだけでは行き届かなかった細かい顧客へのフォローが可能となる。

 トラベル・コンシェルジュを導入してから顧客の平均単価も売上ベースで毎年約1万円ずつ上がっている。「既存の旅行会社は、お客さまの満足より仕入れに重点を置くことにより利益を得ようと考えている節がありました。旅行市場は成熟しており、お客さまのこだわりが強くなっています。ハネムーナーと結婚10年目の夫婦では同じ観光地に行くにしても内容は異なります」

内容に誤りがあったため、初出時と記事内容が異なります。(2014年9月1日)


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