22nmプロセスと比べ、2倍もの性能/消費電力比を実現
ここからはその14nmプロセスを使った製品の話である。下の画像は、リーク電流とスイッチング速度を比較したものである。
まだインテルは具体的な内容を公開していないが、当初製造されるBroadwell-Yは、この図で言えばMobile Computingに属する部分で、しかもSoC構成ということで、ターゲットはMobile Computing~Mobile Always-On Circuitsを狙った部分となる。これがP1272ということになる。
Server Computing~Client Computingで一部Mobile Computing向けがP1273という形になると思われる。実際の製品では、ということでServer/Laptop/Mobileの3つのスキューにおける変化をまとめたのが下の画像である。
性能にしても消費電力にしても、22nmから14nmになって劇的に改善されているわけではないにせよ、着実に性能改善/消費電力低減が図られているとしている。そして、今回発表されたBroadwell-Yは、この1.6倍を超える2倍もの性能/消費電力比を実現したとしている。
次が、先ほども出てきた実装面積の話。ゲート幅×配線層の幅を掛け合わせた数字で言うと、インテルのプロセスは一貫して削減できているとしている。大雑把には、プロセスが一世代進むと密度が倍になるとされるが、これを14nmでも実現できたとする。競合するTSMCやSamsung/GLOBALFOUNDRIESに比べて実装密度が高いことをアピールしている。
実装面積の削減により、実装コストが引き続き順調に下がっているというのがインテルの主張である。正確には、1mm2あたりのプロセスコストそのものは順調に引きあがっている。ところが、これを遥かに上回る勢いで1mm2あたりに実装できるトランジスタ数が増えているため、トランジスタ1個あたりのコストは順調に下がる、というわけだ。
最後に、これを利用したBroadwell-Yの歩留まりに関してのまとめが出ている。やはりというべきか、立ち上がりは22nmに比べてかなり低かったようで、歩留まりを引き上げるために2~3四半期ほど努力してきたのがよくわかる。
インテルの予定としては、今後は22nm世代と同等の歩留まりが確保でき、2015年前半には大量の14nmプロセス製品が出荷できるとしている。現在はオレゴンのD1C/D1D、それとアリゾナのFab 32が14nmを量産しており、2015年にはアイルランドのFab 24も量産を開始するというのが現状の予定だ。
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