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myrmecoleonの「グラフで見るニコニコ動画」 第32回

共通上位は東京喰種、セーラームーンCystal、Free!-ES-、SAOIIなど

2014年夏アニメの二次創作状況をニコ動とpixivで調査

2014年08月28日 18時00分更新

文● myrmecoleon

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『アルドノア・ゼロ』第1話の公式配信動画。オリジナルのロボットアニメで、ニコ動・pixivともに二次創作の投稿数は右肩上がり。

 今期はともに人気作品である「ソードアート・オンライン」「Free!」の2期となる「ソードアート・オンラインII」「Free!-Eternal Summer-」がこれまでの人気を引き継いで盛り上がっています。しかし、投稿数はアニメ放送の影響でともに7月に入って増加しているものの、放送以降の投稿数の拡大が見えず、2期相応の人気で、大きなヒットとはなっていないようです。

 逆に今回のアニメ化で化けたのが「東京喰種トーキョーグール」。ニコ動・pixivともに週を重ねるごとに投稿を増やしており、すでに「Free!」と並ぶ規模となっています。アニソン人気・MADネタ・腐女子人気と複数のヒット要因に支えられており今後期待です。

 なお参考に、現在放送中のアニメでは「ハイキュー!!」のpixivイラスト投稿数が月1万件前後、放送終了作品関連では「ラブライブ!」「弱虫ペダル」「カゲロウプロジェクト」が月7000弱ほどです。「東京喰種トーキョーグール」も人気があるとはいえ、まだまだこの規模までは届いていませんね。

ニコ動での投稿数が右肩上がりになったのは
「アルドノア・ゼロ」「さばげぶっ!」「アオハライド」など

 これら以外のタイトルでは、ニコ動では「ハナヤマタ」「アルドノア・ゼロ」「Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ2wei!」などの投稿が多かったです。前回同様に投稿数を7日毎に区切って推移を見てみました。

7月開始アニメのおもな10作品の関連タグについて、7月1日スタートで火曜から翌月曜までの7日間ごとで区切ったニコ動での動画投稿数をグラフにしたもの

 今期きららアニメで浜弓場双が「まんがタイムきららフォワード」連載中の同名の漫画を原作とする「ハナヤマタ」は、放送開始した7月2週目に約90件の動画が投稿され、注目を集めましたが、以降は投稿数を落としています。投稿の内容としてはテーマ曲の「花ハ踊レヤいろはにほ」や「花雪」の演奏してみたなどの動画が多いです。

 TYPE-MOONのFateシリーズを元にした漫画作品のアニメ化の2期にあたる「Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ2wei!」も同様に7月下旬頃は投稿数が多かったですが、現在はだいぶ投稿数を落としています。同じくピーク時より投稿数を落としているタイトルとしては「ばらかもん」「ペルソナ4 ザ・ゴールデン」「ヤマノススメ セカンドシーズン」があります。

 「アルドノア・ゼロ」は今期スタートのオリジナルアニメ。初週はあまり投稿がありませんでしたが、週を重ねるとともに投稿が増えており、現在は週40件前後の投稿がされています。グラフ5に挙げた作品のなかでは8月の投稿が一番多い作品です。

 同様に週を重ねるごとに投稿が増えてる作品では「さばげぶっ!」「アオハライド」などがあります。奇しくもどちらも少女マンガ原作ですね。松本ひで吉が「なかよし」で連載中の同名の作品を原作とする「さばげぶっ!」は、なかよし連載作品なのにテーマがサバゲで深夜放送という異色アニメですが、妙な健闘をしています。「アオハライド」は以前タグトレンドで紹介したOP曲「世界は恋に落ちている」の歌ってみた動画などが多いです。

pixivで大きく右肩上がりした
「月刊少女野崎くん」と「アルドノア・ゼロ」

 pixivでは同じく「アルドノア・ゼロ」のほか、「月刊少女野崎くん」「DRAMAtical Murder」「ペルソナ4 ザ・ゴールデン」などの投稿が多かったです。同じく投稿数を7日毎に区切って推移を見てみました。

7月開始アニメのおもな7作品の関連タグについて、7月1日スタートで火曜から翌月曜までの7日間毎で区切ったpixivでのイラスト投稿数をグラフにしたもの

 こちらに関してはいずれのタイトルも初週以降投稿が増えていますが、特に「月刊少女野崎くん」「アルドノア・ゼロ」が大きく拡大しています。その他の「DRAMAtical Murder」「ペルソナ4 ザ・ゴールデン」「黒執事 Book of Circus」はもともと女性人気の高いタイトルです。

 「月刊少女野崎くん」は椿いづみが「ガンガン ONLINE」に連載中の漫画を原作とする作品。キャラクターとしてはヒロインの「佐倉千代」がよく描かれており、カップリングとしても「野崎梅太郎」「佐倉千代」(のざちよ)の男女カップリングの投稿が多いようです。なお女の子がよく描かれているものの、R-18イラストは2%ほどと少ないようです。

 「アルドノア・ゼロ」のキャラクターでは主人公「界塚伊奈帆」のライバル的な立ち位置となる「スレイン・トロイヤード」がよく描かれており、ついで「界塚伊奈帆」、ヒロインの「アセイラム・ヴァース・アリューシア」などが多いです。

 カップリングでは「界塚伊奈帆」「スレイン・トロイヤード」の男男カップリング(「伊奈スレ」)や「スレイン・トロイヤード」「アセイラム・ヴァース・アリューシア」の男女カップリング(「スレアセ」)が多いようです。R-18イラストは5%ほどです。

2期ものが堅調。新顔は東京喰種、野崎くんなどが躍進
一方、今期は突出した“癒し系作品”が見当たらない?

 最後に、まとめも兼ねてニコニコ動画とpixivで各作品の投稿数の違いを比較してみましょう(グラフ7)。両サービスの投稿数を両対数軸のグラフでプロットしてみました。グラフを斜めに走る線より右下側はニコ動寄り、左上側はpixiv寄りの作品になると思います。

各作品のニコニコ動画・pixivの投稿数を両対数軸のグラフにプロットしたもの。斜めの線は近似曲線で、およそこの線から右下がニコ動寄り、左上がpixiv寄りによく二次作品が投稿されているタイトル

 共通して人気が高いのはやはり「東京喰種トーキョーグール」。「Free!-Eternal Summer-」はニコ動での投稿も多いですがやはりpixivのイラスト投稿が際立っています。「ソードアート・オンラインII」「美少女戦士セーラームーン Crystal」も投稿数が多いです。ついで平均して投稿数が多いのは「アルドノア・ゼロ」「ばらかもん」「Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ2wei!」など。これらはニコ動・pixiv双方で人気が高いです。

 「ハナヤマタ」「さばげぶっ!」「六畳間の侵略者!?」「人生相談テレビアニメーション「人生」」はニコ動で、「戦国BASARA Judge End」「月刊少女野崎くん」「ペルソナ4 ザ・ゴールデン」はpixivでの投稿が多い傾向があります。

 7月アニメも折り返しを過ぎて、おおむね二次創作人気の動向も固まってきた頃かなと思われます。今期は2期となる「Free!-Eternal Summer-」「ソードアート・オンラインII」がこれまでの人気を引き継いで堅調な一方、「東京喰種トーキョーグール」「月刊少女野崎くん」「アルドノア・ゼロ」などの新しい作品も受け入れられているようです。

 今期で気になるのは、男性人気の高い「のんのんびより」「ラブライブ!」「ご注文はうさぎですか?」などに代表される、女の子が中心に登場する作品で大きな人気が見られない点でしょうか。

 「ハナヤマタ」は初期にニコ動で投稿が急増したものの、その後はだいぶ落ち着いています。やや異色な原作の「さばげぶっ!」も思ったよりは人気がありますが規模的には目立つほどではありません。しいていえば「Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ2wei!」かもしれませんが、いずれにしろ特定の作品が大きく注目を集めるということにはなっていないようです。興味深いところです。

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