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エレコムサポートセンター潜入記

札幌で“ユーザーサポートの聖地”を巡礼してきた!

2014年08月26日 11時00分更新

文● 二瓶 朗

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サポートセンターのオフィス。オープンな環境に約100人のサポートメンバーが勤務中。取材中も粛々と電話サポートが続けられていた

北海道にサポートセンターがある理由
札幌人はサポート能力が高い!?

 オフィス一角の会議室に腰を据えた取材班は、さっそ田中氏、河原林氏にエレコムサポートセンターの概要を伺った。

―― そもそも、なぜ札幌にサポートセンターが置かれているのでしょうか?

田中 「札幌に弊社のサポートセンターが設置されたのは10年ほど前のことです。それまでは東京を中心にアウトソースしていたサポート業務を、社内で運営しようという話になりました。当時札幌にサポートセンターを開設すると助成金が出るということで、多くの企業のサポートセンターが札幌に進出したのです」

河原林 「すでに助成金制度はなくなってしまいましたが、未だ札幌にサポートセンターを置いている企業は少なくありません」

サポートスタッフはある意味、カウンセラーのような役割を担っているようです(田中氏)

―― それはなぜでしょう?

田中 「札幌の人たちは、サポート業務への適応能力が高かったのではないか、と思っています。現在も基本的に札幌在住の人をサポートメンバーとして採用しているのですが、人間的にマジメな性格の人、PCリテラシーの高い人が多いような印象があります」

河原林 「冬の間は自宅にこもり気味になりますから、自然とPCへの関心も高まり、リテラシーが高くなるのかもしれませんね。電話対応を的確にこなす接客スキルの高い人も多いようです」

田中 「これらはあくまで我々の独断的見解ですけれど(笑)。ともかくこの街に適した業務ということで、助成金が打ち切られて以降も弊社のサポートセンターは存続しています」

―― それにしても、なぜ自社でサポートセンターを運営する決断に至ったのでしょう?

田中 「カスタマーセンターは、営業マン以上にユーザーと接する機会が多い部署です。そこで、単純なユーザーサポートに留めず、その経験を売上や新製品の開発にもつなげていけるのでは、という考えがありました。また、自社運営するにあたって、サポート部門はコスト・センターではなく、プロフィット・センターにせよ、という社内の意識もあります」

「ここから先はウチの製品ではないので、向こうに問い合わせてください」という対応は極力避け、ワンストップで問題が解決するよう努力しています(河原林氏)

―― エレコムのサポートチームの特徴を教えてください。

田中 「弊社のサポートセンターでは、お客様が電話しなくてもすぐに使える製品作りを目指しています。サポートメンバーが何度も同じ質問を受けるようでは、やはり製品としておかしいというわけです。

 そこで、サポートに届いた問い合わせを毎週集計して開発チームへフィードバックしています。その数はおよそ年間1000件といったところです」

河原林 「ワンストップサポートを目標にしていることも特徴です。我々の製品は、周辺機器がほとんどで、実際にはつなぐ先のPCやスマホなどでの操作や設定がサポートの中心となります。他社製品に関しては、情報があるとは限らないわけですが、限られた情報のなかで可能な限りのサポートを行なうようにしています。

 他社さんのサポートでありがちな、『ここから先はそちらのメーカーで聞いてください』というような対応は極力避け、我々への問い合わせだけでサポートが完了することを目指しています」

田中 「サポート件数を増やすことが目的ではなく、1件1件のお客様の質問に回答していくことで、エレコム製品を買って良かったね、とお客様に思っていただけるようにしたいと考えています。その意識はサポートメンバーにもしっかり浸透していますよ」

サポートルームの一角にある検証用製品の山。まるで量販店のように整然と並んでいた

―― サポート情報の取りまとめはどのような流れになっているのでしょうか?

河原林 「一般的なサポートでは、SV(スーパーバイザー)の役目を担う人に情報を集約して処理することが多いのですが、弊社のサポートチームでは、各メンバーが個々に判断して問題を解決していくことがほとんどです。サポート状況はデータベースに登録し、公開することでチーム内で情報共有しています。そしてチーム内の班長がそのサポート情報をとりまとめて商品開発チームにリターンするという流れですね」

田中 「サポートチームでのナレッジデータベースはありますが、特定の対応スクリプトがあるわけではありません。サポートを受けている際、お客様が満足するにはさまざまな判断がありますが、それを個々のメンバーに任せています。

 現代の軍隊では、トップダウンで動くのではなく、現場の意見・判断を重視することも多いそうですが、そういった考える組織としてサポート業務を展開しています」

―― しかしサポートメンバーにそれだけの責務があると、スタッフもなかなかタイヘンなのでは?

田中 「それぐらい緊張感のあるほうがいいのかもしれません(笑)。サポートルームには、検証用の機材が揃っているのですが、新製品が登場するとそれを自宅に持ち帰って自分で研究するようなメンバーもいます」

河原林 「スマホの新製品が登場する時期には、検証機が社内に届く前にショップに行って、ホットモックを触ってみたりするメンバーもいるようです」

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