1912年(大正元年)に日本初のタクシーが営業を開始したことから「タクシーの日」となった8月5日。1世紀以上を経た今年のタクシーの日には、乗車希望者がスマホを使いタクシーを呼び出せる配車アプリ「Uber」を世界展開するウーバーが日本に上陸した。
Uberアプリはタクシーだけでなくハイヤーの配車も対象とし、世界40カ国以上にサービスを展開している。日本では東京ですでに3月からハイヤーの配車サービスを開始しているが、タクシー配車にもサービスを広げることで、同アプリのさらなる利用拡大を狙う。
サービスエリアはまずは東京のみで、既存のタクシー会社との提携によりGPSを使い、配車希望ユーザーに最寄りの空車車両を向かわせる仕組み。提携するタクシー会社が全国に広がれば、将来的には日本全国で利用することも可能だ。Uberの前にも海外からの配車サービスが日本に進出している。大阪を拠点として2013年9月にスタートしたHAILO(ヘイロー)である。
こうした海外発の配車サービスが日本を席巻する日もそう遠いことではない!? いや、国内のタクシー・ハイヤー会社も手をこまねいているわけではない。日本交通が同様のアプリを11年12月にリリースしているのだ。
日本交通は日本マイクロソフトと協業で「日本交通タクシー配車」アプリをリリース。その後、配車エリアを東京以外にも広げてほしいという利用者からの要望を受け、地方タクシー会社と連携し、47都道府県でスマホからの配車に対応する「全国タクシー配車」アプリを提供している。
「全国タクシー配車」で呼べるタクシー台数は2万1151台。「日本交通タクシー配車」と「全国タクシー配車」のシリーズ累計で、アプリのダウンロード数は14年2月に120万件、アプリ経由の配車台数は13年11月に100万台、アプリ経由の売上は14年7月に40億円を超えている(いずれもiPhone版・Android版・WindowsPhone版の合計)。
同アプリの開発を手がけたのは日本交通のIT関連会社となる日交データサービスだが、同社は「全国タクシー配車」をベースに、東京ハイヤー・タクシー協会向けに「スマホ de タッくん」を開発。今年の1月にサービスをスタートしている。
「スマホ de タッくん」には、共同無線タクシー協同組合とグリーンキャブ、大和自動車交通、チェッカーキャブ、日本交通、および日の丸交通の6つのタクシー無線グループが参画。タクシー会社の枠を超えた業界横断的なサービスで、利用者の利便性とタクシー車両の稼働率の双方を向上させることを目指す。
「スマホでタクシーを呼ぶ」という時代の到来を見据えた日本交通の先見性がタクシーの歴史の新たな扉を開こうとしている。