ランダムででたらめな音程を出してみよう
さあ、次のランダムというモジュールは、littleBitsのモジュールの中では、一番むずかしいんじゃないかな。
「ノイズジェネレーター」に、「サンプル・アンド・ホールド」という仕組みを組み合わせたものなんだ。長いカタカナが出てきて、いかにもめんどうくさそうだよね。でも、使ってみればかんたんだよ。
スイッチを左の「noise」にすると、ノイズが音として出てくる。これがノイズジェネレーター、つまり、日本語にすると「雑音発生器(ざつおんはっせいき)」のじょうたい。これは前にためしたよね。
でも、スイッチを右がわの「randam voltage」にすると音は出なくなる。その代わりに、耳には聞こえない、制御電圧が出ているんだ。
考えてもめんどうなだけだから、ためしてみるよ。まず、こんな風につないでみよう。
パワー>ランダム>オシレーター>スピーカー
でも、音は出ない。制御電圧が出ているはずなのに、なぜなんなんだろう?
実はこのとき、ランダムは、ノイズジェネレーターから出るノイズの電圧をチェックしているんだ。そして、そのあたいを、制御電圧として、出力(しゅつりょく)する。
それがサンプル・アンド・ホールドだよ。日本語にすると「ひょうほんをとって、それをたもつこと」。たもっているのは、電圧。ひょうほんをとるタイミングは、トリガーパルスで決まるよ。
ぎゃくに言うと、トリガーパルスが来るまで、このモジュールは、ひょうほんをとるタイミングを、ずーっと待っているいるんだよ。
だからトリガーパルスを入れないと動かない。ためしにトリガーパルスとして、オシレーターを使ってみよう。波形は、矩形は「square」の方がいいかもね。
じゃ、ランダムの前に、オシレーターをつないでみるよ。このオシレーターからトリガーパルスをランダムに送る。そしてランダムは電圧を、オシレーター2に送るんだ。
パワー>オシレーター(1)>ランダム>オシレーター(2)>スピーカー
どうだい? ふしぎな音だと思わないかい? オシレーターのピッチを上げると、どんどん速くなるよ。
ノイズはでたらめなせいぶんでできているので、きりとるタイミングをかえるたびに、ちがう電圧がえられるんだ。だから、でたらめな電圧を、トリガーパルスが入ったタイミングで出しつづける。それで、いつもでたらめな高さの音が、オシレーター(2)から出つづけるのさ。
大昔のとくさつえいがでは、これをうちゅうせんの音としてよく使っていたよ。このとき、オシレーター(2)の次にディレイをつなぐと、よりふんいきが出るよ。
パワー>オシレーター(1)>ランダム>オシレーター(2)>ディレイ>スピーカー
じゃ、またね!
書いた人――四本 淑三(よつもと としみ)
1963年生れ。ふりーらいたー。武蔵野美術大学デザイン情報学科特別講師(むさしのびじゅつだいがくでざいんじょうほうがっかとくべつこうし)。新しい音楽は新しいぎじゅつにかんけいがあると考えて、てくのろじーと音楽についていつも調べているよ。好きなものは自転車とウクレレとえすぷれっそだよ。