ベルサイユ宮殿などにひとっ飛び
筆者はiPhoneユーザーなので、友人のAndroidスマートフォンを借りました。友人は「Google I/O」の参加者だったので専用の「Cardboard」アプリはもうインストール済み。アプリでは、Earth / Tour Guide / YouTube / Exhibit / Photo Sphere / Street Vue / Windy Dayの7つのシーンを楽しめます。筆者の一番のお気に入りは、Tour Guide。ベルサイユ宮殿内を案内をしてくれます。「Google Cardboard」を目に当てたまま、頭を前後左右、上下に動かすと、自分がベルサイユ宮殿の一部屋にいるような錯覚を覚えます。本体は段ボール、レンズはプラスチックであるにもかかわらず、本格的なVRヘッドセットのワクワク体験ができます。
「Google Cardboard」のストーリー「他人がコピペできない体験」
プロダクトとしての「Google Cardboard」が優れているのは「他人がコピペできない体験」ができること。つまり、ゴールは簡易VRヘッドセットの完成ですが、そこに到達するまでのストーリーが、以下のように、とても計算されていること。
- 本体、レンズ、NFCタグ、マグネットスイッチなどのフルセットは、「Google I/O」参加者が入手できる
- 作るのに、ちょっと苦労する
- 7つのシーンをうち、好きなシーンを選択できる
- とりあえず、楽しい
- 不完全なプロダクツであるがゆえ、無限の可能性を想像する
たとえるなら、夏休みの工作のような楽しさとでもいうのでしょうか。50cm×20cmほどのサイズの切り抜かれた段ボールでVRヘッドセットが完成し、先端技術が体験できる(Androidスマートフォンを持っていればですが…)。さらに、友人や家族と「ね!面白いでしょ!?」と「楽しさ」を気軽に共有もできるのも優れています。
FacebookがVRヘッドセットとして有名なOculus Riftの開発元Oculus VR社を約2,000億円で買収したのは、皆さまのご存知通りです。邪推するならば、もし今回のGoogleによるVRヘッドセットの無料配布がFacebookへの牽制であるとしたら、企業の戦いのストーリーとしても、さらに興味深いフェーズに差し掛かったことになります。目が離せないのは、VRヘッドセットだけではありません。(謝辞:「Google Cardboard」を提供していただいた、(株)CRI・ミドルウェアの幅 朝徳さんにお礼申し上げます)
前田知洋(まえだ ともひろ)
東京電機大学卒。卒業論文は人工知能(エキスパートシステム)。少人数の観客に対して至近距離で演じる“クロースアップ・マジシャン”の一人者。プライムタイムの特別番組をはじめ、100以上のテレビ番組やTVCMに出演。LVMH(モエ ヘネシー・ルイヴィトン)グループ企業から、ブランド・アンバサダーに任命されたほか、歴代の総理大臣をはじめ、各国大使、財界人にマジックを披露。海外での出演も多く、英国チャールズ皇太子もメンバーである The Magic Circle Londonのゴールドスターメンバー。
著書に『知的な距離感』(かんき出版)、『人を動かす秘密のことば』(日本実業出版社)、『芸術を創る脳』(共著、東京大学出版会)、『新入社員に贈る一冊』(共著、日本経団連出版)ほかがある。現在、ビジスパからメルマガ「なかマジ - Nakamagi 2.0 -」、「Magical Marketing - ソシアルスキル養成講座 -」を配信中。
この連載の記事
-
第70回
ビジネス
画像使用でトラブル?!クリエイティブ・コモンズ活用術 -
第69回
ビジネス
プロの道具がスゴイ! -
第68回
ビジネス
CASIO「MGC-10」、開発秘話 -
第67回
ビジネス
ドローン少年事件で考えるマネタイズの寿命 -
第66回
ビジネス
スター・ウォーズ コンテンツの成功の7つのポイント -
第65回
ビジネス
アクセスの伸びる写真 ドミナントカラーって何? -
第64回
ビジネス
大塚家具の騒動のネットの反応、会員制の是非 -
第63回
ビジネス
水、火、木、空という、古く新しいコンテンツ echo camp series 2015レポート -
第62回
ビジネス
Apple Watchの未来について妄想してみた -
第61回
ビジネス
今どきのサイバーセキュリティ事情 -
第60回
ビジネス
自動車に参入?Apple周辺のウワサをまとめてみた - この連載の一覧へ