このページの本文へ

前へ 1 2 3 4 次へ

最新ハイエンドオーディオ、本当のところ 第9回

DSDやバランス駆動を備えた高級ポータブルプレーヤー

ハイレゾ機の定番、第2世代Astell&Kernを比較試聴 (4/4)

2014年09月28日 12時00分更新

文● 編集部

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

はつらつとしたAK100II、より雑味がないAK120II

 3モデルのうち、AK120IIとAK100IIの音質傾向はかなり近いが、聴きこめばやはりその差を感じる。例えばポップスやロックにおけるリズム帯の切れ込み感、あるいはオーケストラ全体のフォルテにおける個々の楽器の描き分けなどを比べると、上位のAK120IIのほうが音が全体に雑味なく整い、低域の支えもより力強く芯が通る。音の実在感も増す印象だ。

 逆にAK100IIは少々腰高になるというか、同じ曲でもより高域の伸びを意識することが多くなる。これは低域の量感だけでなく、立ち上がり/立ち下りのスピード感など再現の質の差に追うところが大きいように感じる。たとえばAK100IIは少々ブーミーというか、低域にわずかな曖昧さがあるように感じる。

画面が大きくジャケット写真が見やすいほか、タッチ操作で主要な機能をスピーディーに呼び出せる。

 例えばデモ曲のひとつ「Spanish Harlem」(Rebecca Pigeo)で特に感じたことだが、ウットベースのアタックに加え、透き通るような女性ボーカルと周囲に広がるリバーブ感という点でもAK120IIはより広く包み込まれるような雰囲気が味わえる。このあたりはDACを左右独立して使用し、音の分離をより突き詰めた成果が出ているところと言えそうだ。

 このように聞けば確かに、上位・下位の差はある。とはいえこれは2台の機器を同じ環境で何度か繰り返して再生することで初めて確固としたものとなるというレベルのもの。単体で聴いた場合は傾向の近さもあり、AK100IIでも十分に優れた再生ができていると感じる。デュアルDACの搭載など仕様面での違いもあり、ほぼ倍の価格差があることを考慮すると、AK100IIも健闘しているというか、肉薄しているというか、そこまで目くじらを立てるような差ではないとも考えられる。

別格とも言えるAK240のサウンド

Image from Amazon.co.jp
Cello Bouquet (チェロ・ブーケ)

 ただしAK240になるとその差は別格という印象がある。フォーカスがピッタリと合い、一皮向けたような明確な音像である。DSD5.6MHz対応の楽曲ということで、溝口肇の「Cello Bouquet」を聴いたが、弦楽器(チェロ)特有のゴリっとした迫力感、質感、音の沈み込み、空間の残響の表現などさまざまな場面で力の差を感じる。

 もうひとつ感じた点としては、AK240はいわゆるポータブル機として、ヘッドフォンと組み合わせるだけでなく、ホームオーディオとしても十二分にいけるということ。

 LINE-OUTからオーディオ機器に接続し、Hi-Fi用のスピーカーで聞くと、ハリがあって力強く、音色にも艶がある。ポータブル機であることを忘れさせる余裕をもって朗々と音楽を奏でる。

 Astell&Kernの販売代理店アユートは、AK240のヘッドフォン出力をXLR端子に変更し、アンプに出力できる「PEF11-AK-BALANCED-CABLE」を販売している。ノイトリック製コネクター、ムンドルフ製ケーブルなど高級オーディオの世界では有名なブランドのパーツを使い、7万4800円と価格も高価な変換ケーブルだが、こういった高級アクセサリーを使った再生にも真実味が出てくるような充実した再生だ。

アユートが用意している高級ケーブル。スタンドに加え、木箱までつく。

 ポータブルの枠を超えた究極のハイレゾプレーヤーのひとつとして、存在感を示すクオリティーとなっている。

■関連サイト

前へ 1 2 3 4 次へ

カテゴリートップへ

この連載の記事

秋の「鉄板ヘッドフォン」購入ガイド

ピックアップ