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VAIO株式会社、設立1ヵ月の感触をきいた

VAIO執行役員 花里氏「VAIOが始まった当時に戻った感じ」

文●貝塚怜/ASCII.jp編集部

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設立からはや1ヵ月が経ったVAIOの東京オフィスにお邪魔した。壁には例のスローガンがかけられていた

「VAIOのスタート当初からいた私から見ると、『昔に戻ったな』という規模感」

—— 設立会見で関取社長は、小さな組織ならではの「動きやすさ」の部分を強調されている印象でしたが、実際にそれは感じていらっしゃいますか?

 「動きやすくなったというか、とにかくフラットな組織なので、コミュニケーションのスピードが早い。大きな組織だと、やらなくてはいけないことが隙間に落ちて、誰も取りにいかないということがありますよね。でも、今のVAIO株式会社はかならず誰かがレシーブをしてくれるから、取りこぼしが少なくなっている。これから専門領域が広がってくるとは思っているんですけど、今は気が付いた人がなんでもやっている状態です。みんなのモチベーションが高まってることもありますね。

 ソニーマーケティングさんもそういう印象を抱いているみたいですよ。向こうはソニーさんの一部ですから、その彼らが言うってことは本当に早くなっているということなんだと思います」

—— 言い方が難しいですが、ソニー時代のVAIOチームの中心メンバーは、そのままVAIOの社員になっているんでしょうか?

 「そうですね。設計陣には主要メンバーが残っていますし……マーケティングとか商品企画の部分も、キーとなるメンバーは残っていますね。

 人数が減った分、1人がやることが増えているなとは感じますけど、でも、昔ソニーでVAIOの事業が始まったときの人数と同じくらいですから、VAIOのスタート当初からいた私から見ると、『昔に戻ったな』という規模感ですよ。

 240名の小さな会社ですけど、これだけブランドが立った状態、ブランドの知名度がある状態での企業のスタートというのは普通ありえないと思いますし、ゼロからスタートしたわけではないですから、恵まれた環境にいるんだと思います。

 一方で悪いところもあって。情報の秘匿性みたいなところですよね。組織がフラットな分、『皆が知り過ぎてしまっている』んですね。経営的な立場で言うと、どこで線を引こうかと悩んでいたりするんです。

 もちろん、投資会社さんとのやり取りなんかの経営の深い部分、役員レベルでしか知らない部分もあるんですけど、ことビジネスにまつわる話で言うと、これまでの組織だったら絶対に知らないレベルの人が知ってしまっていることが多くなっているとは思いますよね。単純に『悪い』というだけの話ではないんですけど」

—— ソニーマーケティングが販売総代理店になりましたが、まったく新しい販路も検討していたのでしょうか?

 「色んな可能性は考えていました。当初我々がVAIOを立ち上げたときの話に戻りますが、VAIOという商品は、他者さんと比べても高価ですし、『シェアで競争しよう』という考えはそもそもなかったんですよ。

 シェアという観点からではなく、『自分たちがいいと思っているものを、まずお客様に共感していただいて、そういうお客様をどんどん増やしていこう』と考えていたんです。『数はあとから付いてくる』という考え方ですよね。

 それを踏まえ、共感していただけるお客様をどうやって維持・拡大していこうかと考えたときに、新しいところと組むとなるとそれなりにリスクがあります。

 ソニーストアで購入してくれるお客様というのは、すごくロイヤリティー(忠誠・愛着)の高い方ですから、そのお客様との関係性は維持していきたい。『スムースに確実に』と考えたときに、色んな選択肢の中から、最後の選択肢として残ったという感じですね。

 ソニーマーケティングの販路だけでは取りこぼしているお客様を、どういう風に取り入れていくかというのは課題としてありますけど……だいぶ小さな組織になってしまったので、今のところは営業のリソースもしぼってしぼって、お客様との接点をできるだけ集約していこうという考え方ですね」

—— VAIO株式会社では、製造も一貫して自社でなさるんですよね?

 「そうですね。製造も、設計や品質管理、カスタマーサポートの部分も「安曇野フィニッシュ」というかたちですべて長野に集約しているんです。問題のある機種が絶対にお客様のところに行ってしまわないようにしようということで、OSのビルドもやりますし、箱を閉めて、出荷するというところまで全部長野でやります」

—— 「安曇野フィニッシュ」の体制は効率化を求めた結果というわけではないんですよね。

 「手間です。かなりの負担ですよ。でも、何でも効率よくしていけばいいとは思っていなくて。そこがVAIO株式会社の粋なところと言いますか……外部に丸投げしてしまえば簡単ですけど、それだと自分たちごとではなくなってしまうから、お客様の声もきけないでしょうし。

 手間やコストがかかっても、そこだけはちゃんとやろうというのが、新会社の基本的なポリシーですよね。でも、長野のメンバーもそういうことをやりたかったみたいですよ」

—— 「安曇野フィニッシュ」ってどこかに刻印されていたりとか……?

 「おっと……面白いところに気付きましたね(笑)。色々考えています。今回のVAIO Pro 11/13とVAIO Fit 15Eに関しては、購入された方が『あ、安曇野フィニッシュなんだ』って気付くような仕掛けは用意しています。それは、ご購入された方だけのお楽しみということで。今後も『安曇野フィニッシュ』という言葉を使って色々とプロモートしていこうと思っています」

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