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「シングルページ」流行の7つの理由と最新事例まとめ (3/4)

2014年08月18日 11時00分更新

文●イシジマミキ/ザ・マーズナレッジ代表

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なぜシングルページ?

 Webサイトは通常、複数のページで構成されています。トップページや商品情報、アクセス、お問い合わせページなどなど。1つ1つが「ページ」として独立しており、それらをまとめたものがWebサイトですね。

 シングルページはこれらを「1つにまとめて見せること」として定義されますが、それにはどんな理由があるのでしょうか。単純にかっこいいから? それもあるかもしれませんね。スクロールしていくことでくるくる変わるデザインは見ていて楽しいです。

 しかしそれだけではありません。シングルページが台頭してきた理由をいくつか考えてみました。

0.シングルページアプリケーションの影響

 Gmailは、メール受信画面から連絡先やToDoリスト、チャットなどいろいろなことが1つのページできます。1つのページでさまざまな機能を利用できることが、最近はアーキテクチャ(構造)として注目されています。

 遷移なしで情報が見られたり、何かを追加したりができるので、ユーザーはアプリケーションの変化に気付きやすく、待ち時間を感じにくいというメリットがあります。シングルページデザイン自体は縦長になりがちですので、Gmailなどとまったく同様の思想であるとは言い難い面もありますが、影響されているところも否定できないでしょうね。

1.スクロールするだけで全部見られる!

 これまではユーザー自身の意思で「クリック」することで、たくさんの情報の中から自分の見たいものを予測して選んできました。情報があふれたページの中から自分の見たいものを探す。あたり前のことですが、見たいものを「見つける」ことと、逆に発信者が見せたいものを「見てもらう」という2つには大きな乖離があります。それらを近づけるのに苦労してきたのがWeb制作の歴史とも言えるでしょう。

 シングルページには、ページ遷移のリンクは最小限にするという傾向があります。Webサイトは情報ごとにページを分けていますが、シングルページは情報の分類をせずひとまとまりとして見せています。「見せたい情報」というくくりで、情報を分類、まとめているとも言えますね。

 ユーザーはページをスクロールしていくだけで情報を得られるようになり、発信者としても見せたい情報を厳選してまとめることで、「ユーザーと発信者の乖離」を近づけているのです。テーマが絞られているがゆえに見たいものかがすぐ分かり、離脱するタイミングも早々に決められます

 Web上のスペースは無限であり、情報は多ければ多いほど良かった時代を経て、情報が満ちてきたという証でもありますね。「たくさんの情報」を強みとしていた時代から「厳選された情報をシンプルに」という時代に進化したのでしょう。

2.通信環境の多様化

 スマートフォン、タブレット、ゲーム機など、さまざまなデバイスが増え、通信できる端末もたくさん増えてきました。

 端末の増加に合わせるように、常にネットに接続できる環境も整ってきました。通信速度はまちまちで、混雑しているときはページの読み込みにストレスを感じることもありますよね。そのような環境でWebサイトを閲覧するとき、ページ遷移のたびにかかる読み込み時間が非常にうっとうしく感じられるものです。

 だからこそ、「遷移せずとも一通りの情報が得られる」ことに価値が見出されているのではないでしょうか。

3.情報は整理が必要だという視点

 先にも述べましたが、Web上にサイトがありさえすれば良いという時期がありました。Webサイトが一般的になった今、それだけではトラフィックを増やしたり、ユーザーの満足度を上げたりできなくなってきました。

 これまで通りに充実した情報を提供しているのに、これまで通りの結果が得られなくなってきたことに、ある日、気づきます。そのとき、ユーザー視点で必要な情報を取捨選択する、という新たな視点が姿を見せるのです。

 ユーザーの求める情報、それに付随して提供すると喜ばれる情報。それらを提供すると同時に「見せたい情報」を発信していく、という流れが作られるようになりました。もちろん、すべてがシングルページで解決できるわけではありません。しかし、新たな視点に対する1つの回答であることも事実です。

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