Samsungの世界シェアが7ポイント減、黄金期は終わるのか?
Samsungはアプリエコシステムを理由に挙げている。だが、アプリが揃っていない、揃いそうにないことなど把握していたはずだ。それとも、端末を出せばアプリが出てくるという楽観論から慎重論に考えを変えたのだろうか?
Androidスマートフォンが大部分占めるSamsungにとって、Tizenはリスクがともなう。SamsungがAndroid、つまりGoogleに依存している状態を変えたいという意図は、AndroidのUIでも見え隠れしているし、Tizenもその1つといえる。
SamsungがTizenをプッシュすることは、「アプリやエコシステムが整っていない」「オペレーターの支持を得られるかわからない」「ユーザーが新しいUIを受け入れてくれるのかわからない」という新しいOSにつきものの課題のほか、「Googleとの関係がどうなるか」という部分でもリスクとなりえる。Samsung Zの延期はこれらの要因が少しずつ関係しているように感じる。
プラットフォームを握ることなく、モバイルの戦いを勝ち抜くことはできない。Samsungにとっての解はTizenとみられていたが、Androidをフォークした方が早いのも事実。Samsungはいまだ「正しい解」を見いだしかねているのかもしれない。
だが時間はかけられない。すでにSamsungのスマートフォン事業はマイナス成長に転じているのだ。IDCが7月末に発表した第2四半期の世界スマートフォン市場調査で、Samsungのシェアは久しぶりに30%の大台を割って25%となった。第1四半期の30%から5ポイント、前年同期の32%からは7ポイントもマイナスだ。上位5ベンダー(Samsung、Apple、Huawei、Lenovo、LG)では出荷台数が前年同期比でマイナスとなったのはSamsungだけ。代わりに大躍進したのが3位のHuawei(前年同期比95%増)、Lenovo(同38%増)だ。
スマートフォンの不振は業績にも反映されており、第2四半期の決算で売上高、営業利益ともに減少した。フラッグシップ機である「GALAXY S5」のローンチもあったにも関わらずだ。不振を一時的なものにするためにSamsungがどのような対策に出るのだろうか。Tizenでの右往左往ぶりをみていると楽観はできないように思う。
筆者紹介──末岡洋子
フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている
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