このページの本文へ

前へ 1 2 3 4 5 次へ

どれだけ知ってる? 見たことある?

マニア向け専門誌にも載らない空港用特殊車両をほぼ見てきた!

2014年08月17日 12時00分更新

文● 藤山 哲人

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

搭乗ブリッジ

 普段は内側しか見られないボーディングブリッジだが、外側から見るとちょっとした車両になっている。おそらくモーターで発生させた油圧でアウトリガ、ステアリングの油圧シリンダを駆動していると思われる。

写真右側が出発ゲート待合室。中央は、エコノミークラスとアッパークラスで通路が分かれる部分

ボーイング737など小さな飛行機だと、ボーディングブリッジがつんのめりそうなほど傾いている。外から見ると15度ぐらいの傾斜になっていた

ゲートの足元はタイヤになっていて、ステアリングや走行、アウトリガに高さ調整のジャッキがある

おそらくタイヤは油圧モーターで駆動。左右に固定用のアウトリガ、奥で横一直線に入っているのがステアリング用の油圧シリンダー

おそらくコレが電気モーター式の油圧発生器

地上施設:外部電源

 飛行機自身も発電機を備えているが、エンジンで発電するのは効率も悪く環境にも悪いので、羽田空港では地上から電源を供給している。車両ではないが、せっかくなので合わせて紹介しよう。

掃除機の電線のように、駐機場の地下に電源ラインが格納されているので、これを引っ張り出す

電源コネクターは機体前方の足の近くにある。作業台の足元をよく見ると、ちゃんとアウトリガがある!

電源コネクターを差し込んで通電。これでエンジンを回さなくても、機内の照明や電子機器が使える。コネクターは電気自動車のチャージャーそっくり

地上施設:外部エアコン

 エンジンを止めているとクルマのエアコンが使えないのと同様で、飛行機も駐機中はエアコンが使えない。そこで駐機中は、地上施設から冷気を送って機内の温度を調整している。

マンホールの中からエアーダクトを取り出す

機体の中央、主翼の根元にダクトを接続。機体のこのあたりには、ちょうどエアコンユニットがある

エアーダクトは地下で円柱の塔につながっている。搭乗ゲートで通路が2本に別れるあの場所だ!

塔の中には冷房ユニットがあり、ここで冷気を作り出しエアーダクトを経由して機内に送られる

地上施設:誘導標識(VDGS-Visual Docking Guidance System)

 出発ゲート上には誘導標識があり、パイロットはこれに表示されるサインにしたがう。誘導標識に、どの機種の飛行機がスポットインするのかを入力するのはマーシャラー(シャモジのようなものを持って、飛行機の誘導する人)であり、誘導標識が万が一正常に動いているかなど確認するために、地上には必ずマーシャラーがいる。

出発ゲート待合室の窓の上に掲げられているので、ほとんど見ることができない誘導標識

地上には操作パネルがあり、ボタンを押すとそれに従ったサインが表示される

クルマ止めを入れたというサイン

JALの安心と安全は多種多様な車両と
施設と人で守られる

 ここで紹介したのは、空港を走り回る車両の中の一部でしかない。おもにJGS(JALグランドサービス)が保有、運用する車両を中心に、同社の甲斐 和幸氏と西川 和宏氏の説明を受けながら取材させてもらった。

 そしてJALの安心と安全と定時運行は、多くの特殊車両によって支えられ、それを運転する両氏のような運転技量や経験を持つたくさんの人によって支えられていることを改めて知った。

JALの安心と安全と定時運行は、多くの特殊車両によって支えられている

 夏休みに飛行機に乗る人も多いだろう。そのときにはぜひ、空港で飛行機を縁の下から支える特殊車両とそれを運転、運用する人々にも注目して欲しい。ここで紹介した以上に新しい発見があるはずだ。

【取材協力】

前へ 1 2 3 4 5 次へ

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

ASCII.jpメール アキバマガジン

クルマ情報byASCII

ピックアップ