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事実に基づいたフィクションで、セキュリティーの最前線を紹介

狙われたPOS端末~トホホサイバー犯罪者の、悲劇的な結末

2014年11月25日 09時00分更新

文● ASCII.jp編集部

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 Tanakaは数ヵ月前に会社をクビになり、いまは週に何日かのシステムエンジニアのアルバイトで生計を立てている。クラッキングに手を染めたのは自分を認めなかった社会への腹いせであり、金銭的な困窮も原因のひとつだが、最初は単なる好奇心のほうが大きかった。幸い、仕事のおかげでプログラミングの知識は多少持っていた。ネット上で偶然見つけたクラッカーの集まるフォーラムで情報を得ると、手順は意外なほど単純で、自分にもできそうな気がした。あとは配布されている攻撃ツールを手に入れるだけだった。

 攻撃ツールは日々進化している。比較的高性能で操作も簡単なマルウェアやボットネットがこんなにも簡単に手に入れられる事実にTanakaは驚いた。ウェブ上で簡単に入手できてしまうため、最近では専門的知識の少ない彼のような人間や、少しPCの扱いに慣れた少年少女でさえクラッキングが可能な条件が整っているのだ。

 とはいえ、彼はあっさりとした成功に物足りなさを感じはじめてもいた。

 Tanakaは身支度をして散歩に出た。道々、コンビニやスーパー、書店、居酒屋などを外から眺め、ときには立ち寄ってみる。そうやって街を散策すると、世の中には実に多くのPOS端末が設置されていることが分かる。そうした端末の全てが、彼には今や自分の手の中にあるように思えるのだった。

 もう少し大きな小売業者のグループを狙ってみたらどうなるだろうか? 店舗が大きければ大きいほど、クレジットカードの取引は多いに違いない――クラッキングでの金稼ぎに味を占めていた彼にとって、一度に手に入れられる情報が増えるのは魅力だった。

 彼はさっそく計画を練り始めた。熟練したクラッカーは、情報収集に多くの時間を使うという。企業のウェブサイトや出版物、掲示板への書き込みなど、あらゆる情報はパスワードの推測、内部システムの構造の把握に役立つ可能性があり、ハッキングの手がかりとなる。権威のある人間やクレーマーになりすまして電話で直接情報を聞き出したり、宅配業者や清掃員に化けて社内へ侵入するようなクラッカーもいるらしいが、彼にはそんな度胸はなかった。

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