私、フジムラが普段愛用している日本のギターメーカー・アイバニーズの7弦ギター。国内外でのライブや、スタジオでのレコーディングセッションといったいろいろな音楽の現場に持っていきます。もちろん「音楽アプリ部」の連載でも「iRig PRO」や「JamUp Plug」などのインターフェースを介して、iOS向けアプリを試す際には必ず使っているメインギターです。
「いかなるジャンルにも対応可能な、どんなサウンドでも作り出せるギター」であることをコンセプトにさまざまな改造を施し、オリジナルパーツはボディーとネックしか残っていないというところまでいじってある自慢の一本です。
ですが、つい先日、エレキギターの元祖・フェンダーから「FENDER STRATOCASTER DELUXE HSS PLUS TOP WITH IOS CONNECTIVITY」というUSB出力のジャックを持ったギターが発売されました。iOS機器に直接USBを差し、ギターアンプシミュレーターアプリなどを通すことができます。価格は10万5840円。私の自慢の一本が、唯一持っていないと言っていい機能を持つこの非常に長い名前のギター。今回はさまざまなシチュエーションでこのギターを弾き倒してみました。
ハムバッカーピックアップを付けた変則モデル
まずこの長い名前の示すところをひとつひとつ見ていくと、FENDER STRATOCASTER DELUXEまでで、フェンダー・ストラトキャスターのデラックスシリーズであることが読み取れます。デラックスシリーズの製品はフェンダーのメキシコ工場生産で、価格的には10万円前後のミドルクラスのギターです。
HSSとはこのギターに搭載されているピックアップ(マイク)の種類がブリッジ側からハムバッカー(H)、シングルコイル(S)、シングルコイル(S)であるということの略。ちなみにストラトキャスターはSSSのシングルコイルピックアップが3つ付いているデザインが基本です。
シングルコイルピックアップはその名のとおり、単一のコイルを持つピックアップで、クリアな高音域による輪郭のはっきりした歯切れの良いトーンが特徴。ハムバッカーピックアップは、それぞれ逆着磁の状態にしたシングルコイルピックアップを2つ並べることでノイズを抑えつつより強い出力を可能にしたデザインのピックアップで、中低音のしっかりした力強いトーンが特徴です。
PLUS TOPとはギターのボディートップ(ボディー上面)にフレイムメイプルという美しい木目を持つ木材を使った豪華仕様であることを示しています。
ここまででもすでに一般的なストラトキャスターとはひと味もふた味も違うモデルであることは読み取れます。そしてさらにWITH iOS CONNECTIVITY=iOS接続もできる、と言っております。
USB CONNECTIVITYではなく、あえてiOS CONNECTIVITYとしたあたりの理由はわかりませんが、ミドルクラスのギターとして定評のあるデラックスシリーズの豪華仕様がベースモデルという素性の良さは期待が持てそうです。
(次ページでは、「メイプル指板の特性を解説」)