myrmecoleonの「グラフで見るニコニコ動画」 第31回

冬コミ87のトレンドは6～8月のpixiv投稿数を見ればわかる!?

再びコミケとpixivの二次創作人気を調べてみた(夏コミ編)

“現在”のpixiv人気が“次回”のコミケ人気につながっている？
一方、ボカロのような例外も

　今回もコミケの人気とネットの二次創作人気を比較してみます。第16回のときの調査でpixivが比較的コミケの人気と類似していたので、今回はコミケ86の上位作品と、pixivの2014年上半期の各作品関連のイラスト投稿数を比較してみました。

　前回は直近の1ヵ月の投稿数、今回はサークル参加申込時期を含む今年1月から6月の投稿数と比較していますが、印象としては前回とあまり変わりません。相関係数としてはカゲプロを除けば0.87と相関は強いのですが、タイバニやボカロのようにだいぶ外れている作品もあります。

pixivの投稿数は左軸、コミケのサークル数は右軸。6～7月中に収集したpixivのデータより過去半年間の投稿の各作品関連のタグが付いたイラストをまとめて集計したもの。左右の軸はおおむね両値の比の平均に近くなるように調整している。「カゲロウプロジェクト」はコミケのサークル数は多くないが参考に

　面白いところとしては、第16回のグラフ3（下記）でpixivの投稿数がコミケのサークル数と比較して多い傾向だった「艦隊これくしょん」「進撃の巨人」「ヘタリア」「Free!」はいずれもコミックマーケット86でサークル数を増やし、逆にpixiv投稿が少ない傾向だった「黒子のバスケ」「アイドルマスター」「TIGER＆BUNNY」「戦国BASARA」はサークル数を減らしていました。

　コミケは開催間隔が広いこともあり、直近のpixivの投稿数は、現在のコミケのサークル数というより、将来のコミケの人気ジャンルを占うのに参考になる数字として見たほうが良いのかもしれません。

ニコニコ動画・pixivの投稿数は左軸、コミケのサークル数は右軸。2013年12月11日夜時点で各タイトルのタグについて各タグ検索の機能を使って過去1ヵ月の投稿数を簡易に調査したもの。サービスにあわせてタグは変えてある（「ヘタリア」はニコ動では「AxisPowersヘタリア」等）。参考のためコミケのサークル数を付した

　そういう意味では、まだまだ人気の高い「進撃の巨人」や「ヘタリア」（ヘタリアはそろそろ古参のジャンルだと思いますが堅調ですね）、アニメ放送中の「ハイキュー!!」や秋に2期を予定している「弱虫ペダル」、今年上半期劇的な人気だった「ラブライブ！」は冬コミでサークル数の増えるジャンルかもしれません（「Free!」はアニメ2期開始が今回の集計範囲に入っていないこともあり、若干低めに出ていると思われます）。

　逆に、pixiv投稿数が非常に多いにもかかわらずコミケのサークル数は少ないという作品には、この連載でも過去に取り上げた「カゲロウプロジェクト」があります。昨年末時点でもかなりの投稿数があり、コミケ86でもサークル数は倍増したのですが、まだコスプレ等合わせて二十数サークルとあまり目立ちません。

　今回のコミケの申し込み後にアニメ「メカクシティアクターズ」が放送したので、その影響でサークル数が今後増えることは考えられますが、どちらかというと「VOCALOID」と同じくpixivでの投稿は多いがコミケでのサークル数は増えないタイプのジャンルかとも思います。

　また気になるところとしては「艦これ」と「東方」の今後ですが、「艦これ」はpixiv投稿数の規模としてはサークル数に見合った程度ですし、「東方」もサークル数が減りつつあるとはいえpixivの投稿数は依然多く、少なくとも冬コミではまだ大きく減らないと思われます。どちらもおおむね今回と同規模になるのではないでしょうか。

次回冬コミ87の人気ジャンルは
6～8月のpixiv投稿数で占える？

　今後のコミケの人気ジャンルは、近い時期のpixivの投稿数などにある程度反映されていることが前回と今回の比較で分かりました。この時期に次回コミケの参加申込みが行なわれるのでこの時間差は当たり前のことですが、ネットの二次創作人気がはっきり反映しているのは興味深いところです。

　次回コミックマーケット87でいうと、6月から8月におけるpixivでの人気の盛り上がりが申し込み数を予測する上で有効なのではないかと思われます。

　一方で、「カゲロウプロジェクト」や「VOCALOID」のようにpixivでの人気がコミケのサークル数に反映しにくい作品もあるようです（「ポケモン」なども近い傾向）。この点、pixivで人気があるからといって必ずしもコミケの申し込みが増えるわけではない点は注意が必要なようです。