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PCにデジカメに4Kカメラ! この夏買いたいお買い得デジタル製品 第3回

3万円台の4Kカメラと4万円のハイレゾレコーダーで夏休みを満喫!

2014年07月26日 12時00分更新

文● 鳥居一豊

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バイノーラル録音を超簡単に行なえる
ローランド「CS-10EM」

CS-10EMのイヤホン部分。見た目は普通のカナル型イヤホンそのもの。ハウジング部の外側にある銀の部分にマイクが内蔵されている

CS-10EMのイヤホン部分。見た目は普通のカナル型イヤホンそのもの。ハウジング部の外側にある銀の部分にマイクが内蔵されている

 ローランドのCS-10EMは、カナル型のコンパクトなイヤホンにコンデンサーマイクを装備したもの。このマイクを使うことでバイノーラル録音が実現できる。

 バイノーラル録音は、本来ならば「ダミーヘッド」という人間の頭部を模した人形の両耳の位置にマイクを仕込んだダミーヘッドマイクを使って収録する手法。

 人間の2つの耳と同じようにマイクを2つ使って録音すると左右のマイクに入った音の音量差などから、音源の位置が特定できるようになる。これがステレオ録音の基本。

 だが、人間の耳は2つだけでも左右だけでなく、前後や高さ方向の音源位置まで特定できる。説明すると難しくなるので省略するが、特定の場所の音が耳に到達するまでに頭の形によって乱反射して変化することで、前方や後方、高さを判別できるようだ。

 ということは、人間の頭の形状を模した模型の耳の位置にマイクを仕込めば、人間が聴いているのと同じような音が収録できるはず。これがダミーヘッドマイクによるバイノーラル録音の仕組みだ。

 このダミーヘッドマイクは業務用なので高価だし、ダミーヘッドを使用するため今回の目的である主観的な録音には向かない。

CS-10EMの装着イメージ。普通にイヤフォンを装着するのと同じだ

CS-10EMの装着イメージ。普通にイヤフォンを装着するのと同じだ

 しかし、CS-10EMは耳の穴に押し込むカナル型イヤホンにマイクが仕込まれているので、自分の頭をダミーヘッドとして代用したバイノーラル録音が可能。さらにウェアラブルカメラを頭部にセットすれば、映像も音も主観位置での収録ができるというわけだ。

末端の接続端子。赤のマイク出力と黒のヘッドホン入力に別れている

末端の接続端子。赤のマイク出力と黒のヘッドホン入力に別れている

 CS-10EMのマイクは、超小型ながらもコンデンサー型マイクとなっており、その実力も十分。接続のためのケーブルは、マイク出力とヘッドホン入力の2つが備わっているのが普通のイヤホンとは見た目が異なる部分だ。

カメラもマイクも頭部にセットして撮影開始!!

 では、いよいよ撮影と録音に挑戦してみよう。アクティブなシチュエーションにぴったりなカメラなのだから、山や海などへ行きたかったのだが、残念ながら遠出するにはあまり時間がなく、近場の里山へ行って散策風の映像を撮ることにした。

 まずはウェアラブルカメラのHX-A500をヘッドマウントを使って頭部に装着。つづいて、CS-10EMを耳に装着し、MR-2と接続すれば準備はOK。注意点というほどではないが、ヘッドマウントの調整機構を使い見えている視界とカメラが撮った映像が一致するように調整することが必要。

 CS-10EMは通常のヘッドホンと同じ感覚で装着できるが、装着時にマイク部分に指が当たってしまうため、録音待機状態にしているとノイズが入ってしまい、モニター音量によって耳を痛める危険もあるので、接続などは耳に装着した後で行なうこと。

 また、録音中に内蔵マイクを指で塞ぐとハウリングが発生しやすいので、録音中にイヤホンに触らないようにしたい。

MR-2とCS-10EMは、マイク端子とヘッドホン端子の両方を接続することで、マイクが拾った音をそのままモニターすることが可能

MR-2とCS-10EMは、マイク端子とヘッドホン端子の両方を接続することで、マイクが拾った音をそのままモニターすることが可能

 なお、CS-10EMのマイクは電力供給が必要なので、プラグイン・パワー対応のマイク入力を持ったレコーダーを使う必要がある。MR-2はプラグイン・パワーに対応するが、オートではなく録音セッティングで切り替える必要があるので、接続した後でプラグイン・パワーをオンにする必要がある。

 HX-A500のレコーダー部は腕に固定できるが、MR-2はきちんと収納場所を確保したい。アクティブな撮影を行う場合は、バックパックなどに収納するとよさそうだ。

 ウェアラブルカメラと録音のためのマイクやレコーダーを装着するため、最初は少々手間がかかったが、装着が済んでしまえば実に軽快。カメラを持つ必要がないので、手ぶらでのんびり歩いているだけで、見たまま、聴いたままの映像と音が記録されていく。

 ここで関心したのは、ヘッドホン/マイクのCS-10EMの出来のよさ。昔からバイノーラール録音が大好きだった筆者は、カセットテープ時代のウォークマンが一度だけ採用したことのある付属イヤホンにマイクを内蔵したタイプのレコーディングウォークマンも所有していたのだが、このときはマイクの感度のせいというよりも、振動対策などが十分でなく、周囲の音よりも自分の体内の音(呼吸音など)がかなり目立ってしまい、あまり実用的ではないと感じていた。

 だから、今回もその点は多少不安だったのだが、CS-10EMはそのあたりの振動対策もきちんと施されているようで、呼吸音をマイクが拾ってしまうことはほとんどなかった。

 接続ケーブルに触れたときのタッチノイズも少なめだ。装着時は外部の音を自分の耳ではなくマイクが拾った音を聴くことになるのだが、森の中の道を歩くときの足音や落ち葉を踏んだ音、風にそよぐ木々の発するさわさわとした音などがより鮮明に耳に入ってくる。

 録音セッティングで低音のカットなどもできるが、適正にセッティングを行なえば、基本的には自分の聴力が大幅に強化されたように細かな音まで聞こえるし、音質的な違和感もほとんど感じなかった。

 ウェアラブルカメラとバイノーラル・マイクロホン・イヤホンによる収録は、完全ハンズフリーで実に軽快だ。スポーツなどの撮影で威力を発揮するのは当然だが、このように山の中や公園をぶらぶらと歩くようなシチュエーションも気軽で楽しい。

 しかも、こんな気軽な撮影でも4K撮影&DSD録音のダブル・ハイレゾ収録なのだから恐れ入る。撮影した映像と音の再生が実に楽しみだ。

(次ページに続く、「撮った4K映像&ハイレゾ音声を再生……その前に若干準備が必要」)

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