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1万もの並行世界を演算し、天気予報における遠距離の新たな相関を調べる

理研、「京」を使った世界最大規模の全球アンサンブルデータ同化に成功

2014年07月23日 18時41分更新

文● 行正和義

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アンサンブルデータ同化による18日目の水蒸気量の相関マップ(☆部の水蒸気量と他の地点の相関係数)。上:100個のアンサンブル/中:上図に局所化関数を適用/下:1万240個アンサンブル使用)

 理化学研究所は7月23日、スーパーコンピューター「京」を用いて世界最大規模1万240個のアンサンブルデータ同化と呼ばれる計算処理を行い、高精度な天気予報に利用できる可能性を示したと発表した。

 アンサンブル予報は気象学の研究分野のひとつとして用いられているもので、初期条件から起こりうるさまざまな不確実な並行世界(パラレルワールド)をシミュレート。それらを実世界データと比較して軌道修正し、それぞれ世界の平均やばらつきから高精度な天気予報を可能にする。

 通常100個程度の並行世界を演算するが、アンサンブルを増やすことで統計的なノイズを抑え、ある条件が遠方の気象に影響を及ぼすかどうかといった相関を知ることができる。もともと膨大な計算力を必要とするアンサンブルの計算だが、従来の100個から1万個に増やすことで計算量は100万倍にも上る。

アンサンブルデータ同化による18日目の水蒸気量の誤差を表すヒストグラム。左の100アンサンブルでは単純なガウス分布(正規分布)に見えるが、右の1万240アンサンブルでは2つの山(非ガウス分布)が確認できる

 今回、理研の開発した計算手法「EigenExa」により計算を約8倍高速化、スーパーコンピューター「京」によって全地球の大気シミュレーションモデルデータ(全球東西96×南北48×鉛直7メッシュ)を3週間分計算することに成功した。

 計算結果によると、太平洋にある気象条件が遠いロシア西部まで影響を及ぼすなど、これまでの計算手法では誤差の範囲になっていた相関を示すことがわかった。実際の天気予報においては、はるか遠い地点の気象条件を計算に加えることで日本国内の天気予報を精度を高めるといった可能性があるという。

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