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ポストPCを本格化させるAppleとIBM - 提携への反応は?

2014年07月22日 10時00分更新

文● 鈴木淳也(Junya Suzuki)

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AppleとIBMの共通点とは? - 脱PC、ポストPC

IBMのVirginia Rometty社長とAppleのTim Cook CEO

 PC黎明期から普及期という激動の時代を生き抜いてきたAppleとIBMだが、現在は個人向けハードウェアでコンシューマ中心のApple、ビジネス専門でソフトウェア/サービス専業のIBMと別々の道を歩んでいる。ところが、ある部分で非常に大きな共通点がある。それは「脱PC」を率先して行ない、「ポストPC時代」の最前線に立っているという点だ。

 IBMは2005年にPC事業を中国Lenovoへと売却し、ソフトウェア/サービスの会社へと注力することになった。さらに2014年にはPCサーバ事業も含めてLenovoへの完全売却を発表しており、ハードウェアはいよいよ大規模サーバのみを残す状態となっている。

 一方のAppleは初代iPhoneが発売されることになる2007年に、従来の「Apple Computer」から「Apple」へと会社名を変更しており、「PCにこだわらないメーカー」ということを宣言している。結果、iPhoneの大ヒットでこの脱PC宣言は成功となったわけだが、これが現在の両社提携の流れにつながっている。

 両社の提携が「真の“ポストPC”時代の幕開け」を意味するものと報じているのはMashableだ。10年前、ビジネス市場へとなかなか食い込めずに苦労していたAppleを含め、多くが現在の姿をうまく想像できなかったに違いない。当時はWindowsとPCがすべての中心にあり、モバイルデバイスといってもせいぜいが急速に普及が進んでいたBlackBerry製品くらいだった。

 多くのエンタープライズ向けソフトウェアを開発する企業もWindowsとPCというこの2つのプラットフォームに目が向いており、現在モバイルOSの世界を席巻するAppleやGoogleを意識していた企業は皆無だったと考えられる。

 現在もPCの重要性が高い点は否定しないが、その業務の多くはPC以外のソリューションで代替可能な世界が近付きつつある。スマートフォンとタブレットはその有力候補であり、中心的存在のAppleと、そして垂直市場向けに業界ソリューションを多く抱えるIBMがソフトウェア/サービス面でタッグを組むことで、これまでPCを中心に発展してきた市場が大きく変化する可能性を秘めている。

 Wall Street Journalの記事では、Apple CEOのTim Cook氏は自身の仕事の8割はiPad上で行なっているとコメントしたという。おそらくは、今後これが多くの職種や職能へと広がり、Cook氏自身もPC(Mac)以外のデバイスへの依存度をさらに高めていくのだろう。

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