オムロン ヘルスケアは、各種測定データを電子カルテに自動転送する医療機器「スポットチェックモニタ HBP-1600」の機能拡張を行ない、2014年7月18日から、オムロン コーリンを通じて販売を開始する。
同製品は、2012年2月に日本で初めて発売された、血圧や体温、Sp02(動脈血酸素飽和度)などの測定データを電子カルテに転送する機能を搭載した医療機器。これまでに全国の大学病院、急性期基幹病院を中心に約1500台が使用されている。
バーコードリーダーを利用して、看護師名と患者名を自動的に入力。スポットチェック(生体情報測定)モニタを通じて収集した測定データを、電子カルテサーバーに自動転送。この仕組みを「スポットチェックシステム」と呼び、複数患者のデータを電子カルテで管理できるようになる。
オムロン コーリン 営業本部マーケティング部の天野秀紀氏は、「スポットチェックシステムを導入したことにより、患者1回あたりの検温業務にかかる時間が、4.5分から1.34分へと、3分の1以下に大幅に短縮したという実績が出ている。測定データの入力業務の軽減、測定データの電子カルテへの入力ミスや漏れの防止、医師や他のスタッフとの測定データのタイムリーな情報共有といった効果があがっている」とする。
勤務時間の半分が、電子カルテなどの端末操作や入力業務
病院の看護業務では、勤務時間の半分以上を電子カルテなどの端末操作や入力業務に割いているのが現状。また、1日の業務のうち56分間を測定データの入力時間に割いているという。
「手書きでメモをし、あとで入力することが多いため、入力業務が遅延したり、転記する際のミスや、忙しくて入力を忘れてしまうといったことも起こっていた。こうした医療事故の原因となるミスを軽減できる」というわけだ。
2013年12月にスポットチェックモニタを導入した大森赤十字病院の看護師長である村木久子氏は、「2013年4月に東京都CCUネットワークに加入したことで、心筋梗塞を含めた心臓疾患に対する受け入れが増加。急激に重症患者が増えた経緯があった。看護師の業務量は増すものの、看護師の採用は困難であり、看護業務の簡略化、効率化は待ったなしの状況となっていた。
また、同時に現場では、検温測定データの誤入力や入力漏れといったヒューマンエラーの危険性がより高まってきた。検温業務は、人間の生命維持の状態を示す兆候として重要な情報であり、ミスが許されないものである。
スポットチェックシステムを導入した結果、バイタル情報の転記、入力業務の軽減が実現できたと回答した看護師は67%にのぼり、患者実認証によるデータの取り違い防止に効果があったとした看護師は40%にのぼった。
業務負荷の軽減だけでなく、医療安全的観点での導入効果も確認できた。現在は、6階の西病棟および東病棟だけの導入だが、今後は他の病棟でも導入を検討していきたい」とした。