「Oculus Rift」などのVRヘッドマウントディスプレイが注目を集めている。しかし一般人が手を出すには、価格や環境面でハードルが高いのも事実。そんな中、6月に開かれたGoogleの開発者向けイベント「Google I/O 2014」では、ダンボール組み立て式のVRヘッドセット「Cardboard」が来場者に無料配布されニュースとなった。
しかし日本ではそれより前に、iPhoneを使った同じくダンボール製のVRヘッドセット「ハコスコ」(http://hacosco.com/)が話題を呼んでいた。対応機種はiPhone 5/5s/5c、価格は送料・税別でたったの1000円! 7月1日に発売され、現在は予約分から順次出荷されているようだ。6月下旬に予約したところ7月の始めに到着したので、さっそく組み立ててみた。
組み立ては非常に簡単で、5分程度で完成した。本体前方にはiPhoneがすっぽり収まる隙間があり、イヤホンが挿せるよう穴も空いている。
本体が完成したら、ハコスコ体験用アプリ「SR Viewer」をダウンロードしよう。このアプリでは、渋谷や仲見世通りなど5種類のパノラマムービーに加え、自分が撮影したパノラマ写真を楽しむことも可能だ。
SR Viewer | |||
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価格 | 無料 | 作者 | Naotaka Fujii |
バージョン | 1.01 | ファイル容量 | 13.4 MB |
カテゴリー | エンターテインメント | 評価 | (無し) |
対応デバイス | 全機種 | 対応OS | iOS 7.1以降 |
iPhoneを装着しハコスコのレンズを覗くと、映像がジャイロスコープによってiPhoneの動きに追従し、縦横360度再生される。頭の動きと画面がリアルタイムで連動するので、まるで本当に自分が渋谷の交差点を渡っているかのような不思議な感覚だ。立体的に見えないため、Oculus RiftやCardboardに比べれば臨場感は劣るが、1000円という価格を考えれば十分なクオリティーといえる。
せっかくなので、「SR Viewer」以外のアプリも試してみた。ジャイロスコープを使ったレーシングゲームやボール転がしゲームは細かい動作が必要なので、ハコスコで頭を動かしながら使うのは難しかった。そもそも、スタートボタンをタップしてからハコスコにiPhoneを収める段階で、画面が動きゲームオーバーになってしまう。
タップ動作が必要だとその度にiPhoneを取り出さなければならないので、なるべくタップ動作のいらないアプリであることも重要だ。YouTubeなどの動画アプリであれば画面操作は必要ないし、従来のヘッドマウントディスプレイのような感覚で、新鮮な映像体験ができた。
いくつか試した結果、もっともハコスコに向いていると感じたのは、「Google Maps」アプリのストリートビュー機能だった。好きな場所をストリートビュー表示にし、電子コンパス機能をオンにすれば、頭の動きに合わせパノラマ風景を360度楽しめる。スカイツリーの近くで上を見上げればその高さに改めて驚くし、タイムズスクエアのど真ん中に降り立つことも可能。どこでもドアは未だ発明されていないが、ハコスコで擬似観光体験ならできそうだ。
今後はさらにVRデバイスや対応アプリの開発が盛り上がりそうだ。まずは「ハコスコ」でVRの世界を体験してみてはいかがだろうか。