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第100回 業界人の《ことば》から

小さくなってもとんがったVAIOを

グローバルブランドの火を消さない、VAIO新会社設立

文●大河原克行

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生産規模の縮小がコストにどう跳ね返るかが不安要素

 気になるのは、主要部材の調達においてコスト増が避けられない点だ。

 規模の経済が大きく影響するPC事業は、調達量が多いほど1台あたりのコスト削減が可能になる。

一転突破のVAIOらしい新製品の登場に期待がかかるが、規模縮小によるコスト増に対してどう取り組むかという課題もある

 標準部品については、「ODMの調達力を生かす」(関取社長)として、ODMが持つ調達力を背景にコスト削減を図る考えだが、個別メーカーとしての契約が前提となるマイクロソフトから調達するOSや、インテルから調達するCPUは、規模が16分の1となるだけに、これまでと比べてもコスト増へとつながるのは明らかだ。業界関係者の間では、最終価格で約2万円の増加になると試算する声もある。

 このコスト増を吸収する小回りの利いた経営体質の確立とともに、外に向けては、コストを感じさせない魅力のある製品づくりが求められる。

自由だ。変えよう。

 新会社のキャッフレーズは、「自由だ。変えよう。」である。

 そのキャッチフレーズを使ったメッセージのなかで、「あらゆるものから自由になった今こそ、思い切った決断ができる。VAIOの未来に必要なものを見極めること。そこにすべての力を集中し、PCにはびこる固定概念を変える」とする。

 VAIO株式会社が置かれた立場は、PCメーカーとしての経営体質という点では、決して恵まれたものではない。しかし、VAIOが培ってきたDNAは確実に継承しているといえそうだ。むしろ、VAIOの事業がスタートした当時に戻った様相すら感じられる。その当時も、コンシューマの領域にフォーカスし、AVに特化したPCという他社にはないコンセプトで製品を登場させ、市場を席巻してみせた。

 今度のVAIOはどうなるのか。

 その点でも、これから約半年後に投入されるであろう、VAIOの新製品が楽しみである。

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