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倉庫まるごと米国へ、海外ECを成功させた逆転発想法 (1/2)

2014年07月25日 11時00分更新

文●三浦たまみ

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 海外ECサイト『Strapya World(現Hamee Strapya World、以下他店舗も含め店舗名のHameeは省略)』をネットショップ黎明期の2001年に立ち上げた、スマホ関連グッズ通販のHamee(以下ハミィ、神奈川県小田原市)。また最近では、自社の海外進出のノウハウの販売も計画している。だが、海外事業を展開する過程では、お届け日数の短縮化、送料の引き下げ、返品対応、カード詐欺といった問題に直面してきた。これらの問題を、ハミィはどのように乗り越えたのだろうか。

商品を止める税関、商品より高い送料

 海外向けECでは、商品の到着までにはどうしても時間がかかる。国や地域によっても異なるが、発送から到着まで早くても5日前後は必要だ。

 そのうえ、税関で商品を止められるリスクがある。税関で止まってしまうと、商品到着までの時間はさらに伸び、10日以上かかってしまうこともある。同社が中国から撤退した理由も“税関”が理由だったが(関連記事)、フランスなど他の国でも月に何回かは止まることがあるという。

「海外向けECサイトを運営していれば、起こり得ること。この程度であれば仕方がないという認識です」(International Marketing Head プラティック・ネイェック氏)

返品や送料、カード詐欺といった問題は「ひとつ、ひとつ解決をしていく」と手堅い海外展開を進めるInternational Marketing Head プラティック・ネイェック氏

 そこで、ネットで注文した顧客には、輸送会社の追跡番号を必ず伝えるようにしている。顧客の側も、海外からの発送だとわかっているからだろう。注文した商品がいまどこにあるのか、いつ到着するのかをネットで確認できれば、大きなクレームにはならないという。

 海外向けECでは、送料の問題も大きい。料金は大きさや重さ、距離などによって変わるが、「1000円の商品の送料が3000円」といったこともざらだ。例えば、同社のメインターゲットである米国へ商品を送る場合、日本からでは1000円超の送料がかかる。米国内の競合会社に比べて総額で割高になり、これではいくら商品がユニークでも競争力が落ちてしまう。

 そこでハミィがとった対策は、大胆にも米国に“リアルな拠点”を設けることだった。今年の4月、カルフォルニア州サンディエゴに事務所を併設した倉庫を開設し、売れ筋商品を常時在庫することにしたのだ。米国内からの注文にはサンディエゴから発送するので、送料は“国内料金”となる。

「サンディエゴの倉庫からUSPS(アメリカ合衆国郵便公社)を使って発送すると、送料は500円まで下げられる。米国の競合企業と同じ土俵で戦う体制がようやく整ったのです」(プラティック・ネイェック氏)

コストかさむ返品には「撤退する勇気」

 海外向けECでは、返品コストもバカにならない。注文を受けて決済、発送までした商品が返品になれば、あるはずの売り上げが立たないうえに、送付・返品の送料負担でコストがかさんでしまうからだ。

「ある程度の返品は仕方がないと思いますが、同じ商品を売っていても国によっても返品率に違いがある。他国に比べて返品率が高かったロシアとインドネシアでの販売をやめただけでも、返品コストはかなり削減できました」(プラティック・ネイェック氏)

 いくら売れていても、コストを考えて「撤退」を選択する勇気が、海外展開では必要なのだ。

 日本では珍しいクレジットカードの不正使用も、海外向けECではよくあることだ。ハミィでは不正使用を未然に防止するため、パスポートのコピーなどでIDを確認するように手続きを変更。IDが確実な人をだけを決済するようにし、被害に遭う確率を格段に下げることに成功している。

『Strapya World』のDeliveryページ。米国が主ではあるが、英語圏を考慮した体裁になっている。この下にさらに細かく送料の説明が続く

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