ハンドクラフトのフェアの週末
Live Oak Parkは普段から地元の人の憩いの場となっていますが、イベントも1〜2ヵ月に1度のペースで行なわれています。5月はチベット・フェアがあり、中央アジア方面の郷土料理や名産品などの屋台が集まっていました。6月はハンドクラフトのイベントが開催されていました。
普段は静かで広々とした講演には所狭しとテントが建ち並び、たくさんのお店が出ていました。アクセサリーや焼き物、ジャムのような食品など種類はさまざまですが、ここに集められたものはすべて手作り。趣味で始めた帽子作りを発表する場として活用している人もいれば、ハンドクラフトを売りにした新鮮なハチミツのお店もありました。
その中で活躍していたのが、スマートフォンやタブレットを決済端末に変えるあのサービス「Square」です。
Squareは個人や小規模なビジネスにカード決済を可能にするサービスとして定着しています。しかし小規模ではない店舗にとっても、公園という電源やネット回線がない場所でのカード決済には重宝するサービスなのです。
ここでしか買えない何か、を買う
実際に、Squareに対応していてくれて良かった、というエピソードを実感した出来事がありました。
アメリカでの生活はカード決済で済ませる機会が多く、あまり現金を持ち歩いていません。基本的にはあまり衝動買いをしない方なのですが、ハンドクラフトフェアのような、何があるか歩き回って楽しむ場所では、ここでしか買えないなにかに出会うこともあるのです。
筆者にとってのそれは、アートのような石けんでした。
Skincare by Feleciaiは、Feleciai Favrothさんが6年前に作り始めた、手作りの石けんやスキンケア用品のブランドで、石けん作りから包装、箱詰めに至るまで、彼女がすべてしている完全に個人経営。自宅の洗面所も華やかになるし、贈り物にもぴったりで、ちょうどその両方の用途で買うことにしました。が、現金がない。
そこで彼女が取り出したSquareがついているAndroidスマートフォンで、カード決済を行ない、無事に購入することができました。
話を聞くと、別の仕事をしながら6年前にスタートさせ、3年前からは独立して石けん作りに専念するようになったといいます。材料は「フードクオリティー」、つまり食べられるオイルやフルーツなどを使っており、肌に優しい品質を追求。更に美しいデザインも、手作りならではの仕上がりです。
1960年代、ベイエリアの南東部に当たるフリーモントという街出身の彼女は、街で初めて産まれた黒人の子供だったといいます。今でこそ、ベイエリア一帯、あるいはカリフォルニア州全体も、全米でも最も多様な人たちがいる州の1つになりましたが、現在とはまったく雰囲気が違い、その苦労は想像しがたいものがあります。
そんな彼女は、クオリティーやアートの追究によって、自分という存在を思い切り表現すべく、この美しい石けんに心をこめているといいます。そうした素敵なストーリーに出会えたことは、ちゃんと欲しいものが買えた以上のうれしさがあります。
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