HP APJ Media Summit 2014レポート 第1回
新世代コンピューター「The Machine」の取り組みも披露
ビジネスや医療現場を変革するHPのNew Style of IT
2014年07月03日 09時00分更新
7月2日・3日、米ヒューレット・パッカード(HP)はインドのムンバイにおいてアジア太平洋地域向けのプレスイベント「HP APJ Media Summit 2014」を開催した。初日には同社が推進するNew Style of ITに関する講演が行なわれ、導入企業の事例などが紹介された。
HPのイノベーションがNew Style of ITを支える
HP APJ Media SummitはAPJ(アジア太平洋地域および日本)のプレスに対して、HPの最新動向を説明するイベント。今回はインドの商業都市であるムンバイにAPJ各国のプレスを招聘。5月に米国ラスベガスで開催されたHPのプライベートイベント「Discover 2014」で発表された内容を中心に、おもにエンタープライズ系の製品やサービス、取り組みが披露された。
初日の講演のテーマは、この1年、HPが提唱している「New Style of IT」だ。New Style of ITはクラウド、モバイル、ビッグデータ、セキュリティというメガトレンドに対応する新形態のITアーキテクチャを指しており、昨今調査会社IDCの提唱している「第3のプラットフォーム」に近い概念といえる。サイロ化され、複雑で柔軟性のない既存のITから、New Style of ITに移行することで、拡張性やアジリティ(敏捷性)、自動化などのメリットを得られるという。
イノベーションという観点で、このNew Style of ITについて語ったのが、HP APJでエンタープライズグループを率いるジム・メリット氏だ。現在、日本HPの社長を兼任しているメリット氏は、メグ・ホイットマンCEOのロードマップの元、HP自体が着実に回復への道をたどっていることをアピール。「75周年を迎え、HPにもいろんな変化があったが、イノベーションは文化として残った」と説明し、プリンターや計算機、RISCなどの発明、最新のカートリッジ型サーバーのMoonshotなどを紹介した。
メリット氏は、「データ量は破壊的に増えているのに、60年間もコンピューターは変わっていない。データセンターで消費される電力は現在では2%だが、今後は5%に増加する」と既存のITの限界を指摘。そして、こうした課題を解決するイノベーションの一例として、6月の「Discover 2014」で発表されたHP Labsの「The Machine」の取り組みについて説明した。
HP LabsのThe Machineは特定用途CPUとマッシブメモリプールをフォトニクスでつなぐという新しいコンピューターの構想。The Machineでは、プロセッサーは無駄の多い汎用CPUではなく、ワークロードにあわせた特定用途向けCPUを採用。ストレージに関しても従来の階層化ストレージから、SRAM、DRAM、フラッシュなどを組み合わせたマッシブメモリプールに移行し、性能と省電力を確保する。そして、この両者を伝送速度や電力の面で限界のある銅線ではなく、フォトニクス(光ケーブル)で接続し、「熱をなくす。距離の概念をなくす」という。
The Machineの実用化はまだ数年先だが、特定用途型のカートリッジを展開できるMoonshotを皮切りに、今後は専用OSの開発やSoCパートナーの開拓などの取り組みを進めていく。メリット氏は、「なぜHPか?変化する環境においてイノベーションを推進できるからだ。イノベーションこそが潤滑油だ」と述べ、イノベーションをもってNew Style of ITを支援するHPの姿勢をアピールした。
(次ページ、あの家電量販店も登場!New Style of ITで変わった企業)
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