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マイクロソフト・トゥディ 第101回

プログラマー、エンジニアは神様です—サイボウズ 青野社長・日本MS 樋口社長対談後編

2014年07月03日 11時00分更新

文● 大河原克行

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「エンジニアは神様です」
—プログラマー、エンジニアのステータス

樋口 企業の情報システム部門、SIer、ウェブ企業、ゲームソフト会社なども、人を採用してからプログラミングのトレーニングをしている。これはニーズに対して、人材の教育が十分に応えられていない証だといえます。そこは、変えていかないといけないですね。

 それと、私がマイクロソフトに入って感じたのは、マイクロソフト本社で働くエンジニアのステータスが非常に高いということ。会社の中では、「エンジニアは神様です」といった雰囲気ですから(笑)。非常に恵まれた環境で仕事をしている。日本のように「何K」というような感じはまったくないです。

青野 プログラマーが豊かな生活をしているのを見て、子供たちがプログラマーになりたいと思ってくれたらいいですよね。

樋口 米国では、新卒者でも年収1000万円という場合もありますから。これはこれで、人格形成上いいのかという感じもしますが(笑)。

青野 確かに、それはバブルがすぎるという感じがありますね(笑)。私は2年前に米マイクロソフトのシアトル本社を訪問する機会を得て、プログラマーの部屋を見学させていただいたのですが、平日の昼間に、社内でベビーカーを押しながら子供連れで歩いている人がいる。こうした家庭を重視した環境でプログラマーが働けるというのはすばらしいと思います。

 恵まれている環境であるからこそ、面白いものが出てくるし、世界から尊敬される会社になれる、ということを感じました。感銘を受けましたね。

樋口 本社には、青野さんと同じ「育メン」がたくさんいますよ。

青野 そこには驚きました。

樋口 最近では安倍総理も話していますが、時間を尺度とするのではなく、アウトプットの成果を見て、評価すべきだと。いくら長い時間を働いても、いいものが出なくては意味がありません。マイクロソフトの場合は、評価制度とセットになっていますから、自由度があがったのでこれ幸いにさぼるという人はいませんね。

日本で優秀なプログラマーを育てるには?

青野 日本で優秀なプログラマーを育てあげるにはどうしたらいいのでしょうか?

樋口 昔に比べると、メカに興味を持つ子供は減っているし、自動車にも興味を持っていない。かつてはラジオを作る延長線上にプログラミングがあったのではないかと思うのですが、今は自分で作り上げなくても、完結する中で楽しめてしまう。出来合いのものだけで遊んでしまうという感じがありますよね。

 私は一時期、ハードウェア設計をしていたのですが、あるタイミングからチップセットを買ってきて載せるだけになって、まったく面白くないなと感じたときがありました。組み合わせだけなので、誰でもできますからね。

 子供たちに、作ることに関心を持ってもらうには、記憶だけの教育だけでなく、自分でコントロールすることを学ぶ教育が必要なのかもしれませんね。

青野 今、プログラミングを教えるための会社が設立されたりとか、プロジェクトが立ち上がるという動きが出てきています。そうした点では楽しみにしています。これは自分の子供にもやらせてみたいです。触って壊しまくれるハードウェアがあるといいですよね(笑)。

 プログラミングに興味を持ってもらうには、子供はいたずら好きなので、ダークサイドから攻める。つまり、あのウェブサーバーを攻撃してみろというところから入ってもいいのではないでしょうか(笑)。

コンピュータ科学の普及を目指すNPO団体Code.orgによるキャンペーン動画「What most schools don't teach」の大阪弁バージョン(megalopolis4さんが翻訳)

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