U-22プログラミング・コンテスト実行委員会の主催により、「U-22プログラミング・コンテスト」(@u22procon)が開催される。募集は7月上旬を予定しており、10月5日には最終審査が行なわれることになる。同委員会の実行委員会委員長を務めるサイボウズ 代表取締役社長の青野慶久氏と、実行委員である日本マイクロソフト 代表執行役社長の樋口泰行氏による対談の2回目をお届けする。
プログラミングに出会うと、何が変わるのか
青野 僕は、中学2年の時に初めてプログラミングを書いたのですが、その時に感じたのは、言葉は悪いですが、「ソフトウェアによって、デバイスを“奴隷”のように使える」ということだったのです。コンピュータに自在に計算させたり、出力させたりできる。
樋口 ただ、昔はコンピュータのリソースには限界がありましたから、どうやってバグを見つけるのかといったことも大変だった。エラーしか表示されなかったり、暴走してしまったり。結局、リセットするしかない(笑)。
だが、クラウドにいけば無限のコンピュータリソースがあって、高機能なものが使える。マシンラーニングも進化している。また、アルゴリズムとデータをマッチングさせたデイープラーニング(Deep Learning)が出てきた。クラウドによって大きな付加価値を手に入れることができるようになってきた。この変化は大きいといえます。
青野 昔でいう人工知能は、コンピュータリソースを考えると、とても実現できないと考えていましたが、それが音声認識を含めて可能になっている。将棋でもコンピュータがプロの棋士に勝てるようになってきた。将棋は、動きが複雑なので人間には太刀打ちができないと言われてきたにもかかわらず、覆されてきたわけです。最後には囲碁がありますが、これもアマチュアでは勝てない段階まで到達してきている。
こうした事象をみると、プログラミングができる人と、できない人とが差が出てきてしまうのではないかと思うんです。プログラミングができない人は、人間の頭脳の範囲でしか仕事ができないが、プログラミングができる人は、無限のコンピュータリソースを使って、プロが成し遂げる仕事を、楽に成し遂げることができる。こうしたことを理解してもらいたい。「だから、ぜひプログラミングを学ぼう」というわけなんです。
樋口 プログラミングを学ぶことで、ソフトウェアが何をなしえるのかを知ることもできますね。ただその一方で、データサイエンスという領域のように、データを活用してビジネスにどう役に立つのか、ビジネスの現実から仮説を立てて検証する過程でプログラミングに触れていくという逆の動きもあるといえます。ビジネスの現実、アイデアと組み合わさることでより力を発揮することもあると思います。
青野 ビジネスを生かすアイデアとマッチしたときこそ、大きな力を発揮するというのは確かですね。
英国(イングランド)では、学校においてプログラミングを必修科目にしたようで(関連リンク、PDF)、米国でもプログラミングを必修科目にするという動きがある。プログラミングが未来を変えるということを国のトップの人が理解している。その点では、日本もがんばらないといけないと思います。
イギリスで実施された「Year of Code」( http://yearofcode.org )キャンペーンのプロモーション動画 |
2013年、STEM(Science、Technology、Engineering、Mathematics)教育を推進するための一環として、オバマ大統領がビデオメッセージを公開した。ゲームやソフトを買うのではなく、作ろうと呼びかけている |
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