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電子書籍2万冊が対応、30万冊規模に拡大も

KADOKAWA、Twitter「立ち読み」機能を開始

2014年07月02日 16時18分更新

文● 盛田 諒(Ryo Morita)/アスキークラウド編集部

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 KADOKAWAは2日、Twitter Japanと共同で電子書籍のソーシャルリーディングサービス「KADOKAWA Twitter ePub Viewer」を開始した。ツイートをクリックすると、EPUBデータの一部が読める(サンプル)。KADOKAWA取締役の角川歴彦会長は「KADOKAWA専用ではなく、出版業界全体に開放したい」と話した。

 立ち読みできる電子書籍は公式サイトに掲載されたものに限られ、サイトの運営は角川アスキー総合研究所が担当する。現在KADOKAWAの電子書籍2万冊が対応しており、BOOK☆WALKERから12万冊、出版デジタル機構から22万冊、合計34万冊規模でタイトルが加わる可能性があるという。

 ソーシャルリーディングサービスを始めた理由について、角川会長は「編集者や出版社だけが納得する本を作る時代は20世紀で終わった。これからは(ネットで)読者といかに共生していけるかが重要だ」と話す。

 「どうやって(ネットと)リアルの本との相乗効果を得るかも大事だ。漫画の場合(書店では)ほとんどがビニールでパッケージされて中が見えないが、電子なら見られる。電子サイドでリアルの本を売っていくこともできる。今はまだ時期尚早だが、今後の課題として持っておきたい」(角川会長)

 サービス開始の背景にはコンテンツ産業全体の低迷がある。角川アスキー総研の調査によれば、1万人のうち約50%が「年に1冊も本を買わない」、同じく約54%が「年に1回も映画館に行かない」と回答。電子化が進んでいるとはいえ、同じく約91%が「電子書籍を買っていない」と回答している状況だ。

 「少なくとも電子書籍を年1回買う人を50%に持ち上げる、という発想が重要ではないか。ツイッターで感想を共有してもらい、電子書籍を読まない91%にも届くようにしたい」(角川会長)

 なお、Twitter Japanメディア事業部の牧野友衛氏によれば、日本のツイッター利用者は10~20代が55%と過半数を占めており、全体の約半数にあたる46.6%が漫画やコミック雑誌を読んでいるという。漫画を購入している割合は29%で、立ち読み機能の潜在ニーズは高いと見る。

 「BOOK☆WALKERでランキング人気の『ノーゲーム・ノーライフ』は40万ツイート、同じく『ニンジャスレイヤー』は28万ツイート。すでに感想を共有するニーズがツイッターユーザーにあるのではないか」(牧野氏)

 発表会場を訪れていた『東京ESP』の漫画家・瀬川はじめ氏は、KADOKAWA井上伸一郎専務と共にデモを体験。「ファンの間で(ツイートが)ネズミ算式に拡散していく」という説明を受け、「せっかく描いても、見ていただけないと(悲しい)。なかなか宣伝も難しいので、こういう機能は嬉しいです」と話していた。


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