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「モバイルモーメント」を制するテクノロジー戦略を

2014年07月01日 07時00分更新

文● Ted Schadler via ReadWrite

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ウェブページをスケールダウンしただけで素晴らしいモバイルサービスは作れない。「モバイルモーメント」を制するには更に多くの事が必要だ。

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モバイルデバイスは顧客のニーズを満たす主要なものになった。明日の天気は? 飛行機は遅れてないか? 最寄りの店は? そこはあの店より安いか? 調べたいことがなんであれ、顧客は更にこういったことに対する答えをスマホに求めるようになった。

このように、顧客が求める答えが必要な時にその場で手に入れられると考えるようになった事を、モバイルマインドシフトと呼んでいる。

そして顧客が答えを探しているその瞬間を指す「モバイルモーメント」が、新しいビジネスの戦場となっている。その瞬間に答えが出せれば顧客はより定着し、出せなければ顧客は逃げる。しかしスタートアップ的な企業であるUberや、巨大企業であるアメリカン航空がこのモバイルモーメントにおける勝ち組でいる中、他の多くの企業はアプリを作ることがソリューションであると思いこんでいる。

顧客を30秒で失うには

しかしそういったアプローチは失敗する事になる。何故か? Web時代の基盤テクノロジではモバイルモーメントに対応できないからだ。

モバイルはWebの縮小版ではない。簡略化された手続きと技術の密な組み合わせに基づいた全く異なるものである。新しいインターフェイスを旧来のテクノロジに適用すると言ったやり方では、モバイルモーメントにおけるニーズに応えられる企業とそうでない企業のギャップを埋めることはできない。むしろ企業はモバイルモーメントにおいて勝ち残るため、自分たちのアーキテクチャ/プラットフォームの再構成しなければならない。

モバイルモーメントの為のテクノロジープラットフォームは旧来のビジネスを支えてきたそれとは異なる。Nordstromの在庫管理システムや、アメリカン航空の予約管理システムといった、バックオフィスおよび基幹系マネジメントの為のトランザクションを支えるシステムは、業務上で今正しい情報は何なのかを示すものとして設計されている。しかしこう言ったシステムおよびビジネスプロセスは、モバイルユーザならではのスピーディーかつ頻繁、なおかつ粒度が小さいリクエストに最適化されたものではない。

方やモバイルアプリは内部プロセスではなくユーザにフォーカスを当てたものだ。モバイル・ソーシャル・クラウドや、分析テクノロジを用いて、今その瞬間に欲しがっているものをユーザに直接提供している。

例えばGoogle Nowはユーザーに、もう少し早く歩かないと電車に乗り遅れる、といった様な警告を出すことができる。ここではユーザーのコンテキストにおいて、今モバイルデバイスに期待されていることを提供するための技術が使われている。モバイルモーメント特有の要求を満たすためには、経営幹部や技術部のマネージャは下記の4つに対応するべく、次世代のテクノロジープラットフォームへの投資、構築を行う必要がある。

1.テクノロジの連動を極める

モバイル、ソーシャル、クラウド、通知、アナリティクス、アプリ内フィードバック、コンテンツマネジメントといったテクノロジを連動させ、ユーザエクスペリエンスとして提供する。

2.クラウドベースの統合・配信プラットフォームの構築

旧来の3階層システムは、モバイルにおける幅ひろく複雑なリクエストをハンドルすることができない。企業はクラウドを擁し、APIマネジメントおよびビジネスロジックを司る層と、ユーザに近い所で動く配信層に分かれた、新たな4階層プラットフォームを構築する必要がある。クラウドはこの為の重要なコンポーネントとなる。

3.既存のトランザクションシステムからのデータ取得の単純化

既存のトランザクションシステムおよびプロセスは、モバイル上での小さく頻繁なリクエストの処理には大掛かり過ぎる。企業はプロセスを細粒化し、必要なだけのデータをモバイルなりその他のデバイスで動くようAPIを通じて配信する必要があるだろう。

4.包括的なアナリティクス機能の実装

アナリティクスなしにモバイルアプリを構築することは、何も見えない中を飛び出していくようなものだ。アプリが状況に応じてデータを分析し、利用する。こう言った機能の実装は最も難しいものであり、またこの時代において最も価値あるものになり得る。

ここまで見てきたように、モバイルモーメントとは、よく考えられたテクノロジー戦略と次世代の技術の上で成り立つものだ。技術部の責任者の立場は、この新しい時代において更に重要なものになる。しかしながらこういった技術の開発は安上りなものでも簡単なものでもない。しかしながら更に多くの顧客がモバイルマインドシフトを起こしている中で、ビジネスの成功には肝要なものである。

編集部注:この記事は、ゲストライターのTed Schadler氏によって執筆されました。Ted氏は、Foresster Researchの副社長にして上級アナリストであり、The Mobile Mind Shiftの共著者でもあります。

Ted Schadler
[原文]


※本記事はReadWrite Japanからの転載です。転載元はこちら


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