徹底的な小型化で持ち運べるサイズに
セイコーエプソンは6月26日、同社初のモバイルインクジェットプリンター「PX-S05W」「PX-S05B」を発表した。9月下旬発売予定。予想実売価格は2万円台後半。
約幅309×154×61mm、約1.6kgと、国内A4インクジェットプリンター最小・最軽量をうたう。給紙ローラーを直径で約33%・搬送ローラーを約67%小型化(同社従来比)し、基板を分割して配置する高密度レイアウトにより本体の小型化を実現。同社のインクジェットプリンターとして初めてフレームをアルミ化し、重量の低減と強度を両立させているという。標準的な事務用引き出し(幅318mm)やビジネスバッグにも収まるサイズで、モバイル用途や省スペースなオフィスでの利用を想定している
インクは耐水性に優れた顔料系。印刷解像度は最大5760×1440dpi、印刷スピードはカラーで約4.0ipm、モノクロで約7.0ipm(いずれもACアダプター使用時)。印刷スピードは決して速くないが、これはあくまで小型化を優先したためであるという。また、本体に小型バッテリーを内蔵。満充電でモノクロ約100枚・カラー約50枚の印刷が可能だ。USB経由での給電により、市販のモバイルバッテリーやカーチャージャーからの充電もできる。プリンター内に簡易ドライバーを内蔵しており、外出先で別のプリンターから印刷するような場合もUSB経由でドライバーをインストール可能だ。
Wi-Fi接続のほか、Wi-Fi Directにも対応するため、無線環境がなくてもスマートフォンやタブレットから直接プリントが可能。無料プリントアプリ「Epson iPrint」およびモバイルクラウドサービス「Epson Connect」、メールプリントにも対応している。
カラーはホワイトの「PX-S05W」、ブラックの「PX-S05B」の2色展開となる。
モバイルプリンター市場シェア50%を狙う
現在のモバイルプリンターの市場規模は、年間約10万台。今回の製品でモバイルプリンター事業に新規参入する同社は、目標シェア50%、毎年5万台の販売を狙う。
エプソン販売取締役 BP MD部長の鈴村文徳氏は「予想している色ごとの販売比率は5:5で、店頭では白メイン、ビジネス向けでは黒中心となるだろう。当社の今までのビジネスインクジェットは主にコストの安さを武器にしていたが、今年はスマートチャージとモバイルプリンターを投入し、よりビジネス系の攻略領域を増やしていく」とコメントした。購買層はノマドワーカーやライフハッカーなど、場所を選ばず仕事効率化の意識が高いビジネスパーソンを見込んでいるという。
「例えば、直行直帰型の営業スタイルでプリンターやプロジェクターを持ち歩き、客先での申込書や契約書の作成に利用するシーン、狭い接客カウンターで見積書を印刷するような利用シーンが想定できる。警察など機密性の高い職種の場合、Wi-Fiを無効化しての利用も可能。USB給電が可能なので、自動車のカーアダプターから充電できるのも営業マンにとってはいいのではないか。今までにない軽量のインクジェットプリンターとして、プロジェクターとセットで推していく」とした。
