「お見せできないのが残念なくらい、キツいチェックを入れています」とのこと

試験は30種類! PCよりも厳しい管理下で開発されるiiyamaディスプレー

文●林佑樹

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色んな意味でもっとも厳しい担当者がいた件について

--マウスコンピューターのパソコンは国内販売ですが、iiyamaディスプレーはワールドワイドで展開をしているのですね。そのため、外国の安全基準に対応していると聞きました。

経塚: ようやく出番ですね(笑)。もちろんiiyamaディスプレーは、販売予定の各国の安全規格をクリアさせています。日本ではもちろんのこと、その国の安全規格をパスしていないと販売できませんから。
 大変なのは、その安全規格が変わっていく事です。安全規格の世界では、ある規格が変わると関連する規格も変わってしまうことがよくあります。毎年どこかの安全規格が変化している状況なので、延々と追っていかなければならないのです。

終止明るく話してくれた経塚氏だが、マウスコンピューター製品の品質管理を厳密にしている“張本人”である

--国内では、ディスプレーの安全規格として、その機器が発する電波が他の機器に悪影響を与えないことを証明する「VCCI(Voluntary Control Council for Information Technology Equipment)」や電気用品に必要な「PSE」が思い浮かびます。海外にもあるわけですね。

経塚: たとえばヨーロッパで厳しいのが、環境の規制です。これをクリアするため、製品本体の材料だけでなく、箱やビニールも選んでいます。さらに、品質管理システムに関する規格である「ISO 9000シリーズ」を取得していないと適合できないケースもありますので、ディスプレー部門では、こちらも取得しています。規格や規制の点では、PCよりもディスプレーのほうが厳しいですね。

--国内で販売する場合、こうした規格取得のためのコストがかさんでしまって、不利になるかと素人的に思ったのですが。

経塚: 人の命や財産に関わる場合がありますので、安全性は非常に重要です。確かに国内向け製品は海外規格を取得しなくても販売できますが、海外規格にも準じることで、より安全性が高められると我々は考えています。そのため、こんな風に(下記図参照)、日本とヨーロッパの安全規格の違いはありますが、国内でもヨーロッパの安全規格を満たした製品を販売しています。

日本とヨーロッパの安全規格の違い。EMCに関する項目が国内よりも多い

--すごく重要なパートを担当されてるんですねぇ……。

下田: すごく厳しいんですよ。うちで1番(笑)。

経塚氏は「え、そうなの? 普通のチェックレベルじゃないの?」という反応で、やっぱりこの人もガチである

経塚: 先ほども、設計品質云々といいましたけど、大きくは、環境・信頼性・安全性。安全性は第三者機関での評価も行なっています。先にマウスコンピューターの電源ユニットの品質管理についてインタビューしていただきましたが、電源ユニットの品質管理の考え方も、安全規格から来ています。

PCとディスプレーの相乗効果

--ディスプレーの品質管理が、PCの品質向上にもつながっているんですね。

下田: 逆に、すぐ近くにPC部隊がいることは我々の強みでもあり、iiyamaディスプレーの品質向上にも大変役立っています。最新のグラフィックチップセットやビデオカードが登場した場合、PC部隊の試作の段階から我々も確認できる環境にあります。このため、常に最新の使用条件でiiyamaディスプレーの動作検証ができるのです。

経塚: マウスコンピューターのPCは、BTOで多くの構成が誕生します。こうした、あらゆる構成と組み合わせてディスプレーの検証ができるわけです。他のディスプレーメーカーより、チェックができる環境が整っていると考えています。

--PCとディスプレー間で相乗効果になっているわけですね。

経塚: その通りですね。ディスプレーの品質基準がPCに反映され、最新のPC環境でディスプレーの品質検証が行なえます。お客様も、マウスコンピューターのPCとiiyamaディスプレーをセットにしていただければ、非常に安心して使っていただけるのではないかと。

(次ページ、「電源品質管理のベースとなる厳しい管理下で開発されるiiyamaディスプレー」に続く)