今回のことば
「3Dプリンターは、今後5年以内に商品化する。そして、10年以内にフルラインアップを揃える」
(セイコーエプソンの碓井稔社長)
5~6年で1兆円規模に拡大する3Dプリンター市場
3Dプリンターが注目を集めている。
経済産業省の予測によると、3Dプリンターの市場は、2012年には約2300億円の市場規模であったものが、2020年には1兆円の規模になるとしている。さらに、関連市場は10兆7000億円に達すると見ている。
しかし、日本最大のプリンターメーカーであるセイコーエプソンは、依然として3Dプリンターを商品化する気配がない。
もともとエプソンのインクジェットプリンターは、同社独自のマイクロピエゾ方式を採用。吐出する材料を選ばないという特徴を持っている。それだけに、エプソンこそが3Dプリンターを実現する最短距離のポジションにいたメーカーだともいえる。
だが、セイコーエプソンの碓井稔社長は、「セイコーエプソンは、今後5年以内に3Dプリンターを商品化する。そして、10年以内にはフルラインアップを揃えることになる」と発言する。
碓井社長の発言を聞く限り、セイコーエプソンの3Dプリンターの製品化はかなり先の話になるといっていい。
では、なぜエプソンは、3Dプリンター市場への参入を長期戦略で捉えているのか。
その理由について、碓井社長は次のように語る。
「いま、各社から登場している3Dプリンターは、プラスチックの3Dモデルを作るための製品ばかりである。エプソンはプラスチックの造形による3Dプリンター市場は限定的なものだと捉えている」
つまり、エプソンは、現在の主流となっているプラスチックモデルを造形するための3Dプリンター市場には参入しないというわけだ。
この連載の記事
-
第606回
ビジネス
テプラは販売減、でもチャンスはピンチの中にこそある、キングジム新社長 -
第605回
ビジネス
10周年を迎えたVAIO、この数年に直面した「負のスパイラル」とは? -
第604回
ビジネス
秋葉原の専門店からBTO業界の雄に、サードウェーブこの先の伸びしろは? -
第603回
ビジネス
日本マイクロソフトが掲げた3大目標、そして隠されたもう一つの目標とは? -
第602回
ビジネス
ボッシュに全株式売却後の日立「白くまくん」 -
第601回
ビジネス
シャープらしい経営とは何か、そしてそれは成果につながるものなのか -
第600回
ビジネス
個人主義/利益偏重の時代だから問う「正直者の人生」、日立創業者・小平浪平氏のことば -
第599回
ビジネス
リコーと東芝テックによる合弁会社“エトリア”始動、複合機市場の将来は? -
第598回
ビジネス
GPT-4超え性能を実現した国内スタートアップELYZA、投資額の多寡ではなくチャレンジする姿勢こそ大事 -
第597回
ビジネス
危機感のなさを嘆くパナソニック楠見グループCEO、典型的な大企業病なのか? -
第596回
ビジネス
孫正義が“超AI”に言及、NVIDIAやOpen AIは逃した魚、しかし「準備運動は整った」 - この連載の一覧へ