デルとの協業で分かる
ダイレクトなユーザー企業への提案
中堅・中小企業の情報システムへの提案は、すでに特定の販売店やSI企業が関わっていることがほとんどだ。そのため既存の販売チャネルとITベンダーとの関係も成立している場合が多く、同社が他のITベンダー製品を取り扱って販売する場合に、既存の販売チャネルと競合する可能性が高い。
そのため、NTT東日本自らの販売に加えて、ITベンダーとの協業、各種のハードウェアベンダーとの販売のアライアンスも積極的だ。アライアンス先は、自社の製品とのセットで、導入時にサービスを一緒に販売する手法が増えている。
たとえば、NTT東日本では独自の販売方法を持つデルとのアライアンスを2014年2月に発表している。この場合は直販主体のデルが、販売チャネルを経由して展開する場合に、NTT東日本との協業タッグが組みやすかったという事情だ。発売当初は、販売委託の実績が高かったようだが、商品の知名度の向上、直販の意識の向上、販売ノウハウの向上などもあったからか、直販の実績が徐々に上昇してきているようだ。
また、同サービスをOEMとして提供することも想定しており、機器メーカーとのアライアンスだけでなく、SI企業が提供するサービスとしての拡販も見据えているようだ。すでに同社のコア商材であるフレッツ光を販売店に卸す施策を発表したが、オフィスまるごとサポートもディストリビューター経由で展開することになれば、きわめて大きな販売ネットワーク、既存ユーザー企業、サポート体制を持った事業展開を優位に進められることになるのは間違いない。
さらにはエンドユーザー企業とのコラボレーションも行なっている。たとえば三越百貨店がユーザーに提供する、三越デジタルサポートは個人向けの「リモートサポートサービス」でバックアップしている。このように、エンドユーザーの本業に密接な関連を持つサービスとしても今後さらに注力するという多様性を持たせている。
原則東日本エリア対象だが
実質的に全国一律のサービスを実施
意外に気が付いていない方も多いが、営業エリアはNTTの場合、東と西は別会社となっており、今回のサービスはNTT東日本なので、原則東日本エリアが対象となっているのだ。しかしながら、東日本に本社を有する企業が西日本に支店や営業所、工場などの拠点を置くことも多い。その際は、アウトソーシングで対応できる体制にしており、どの地域でも同じレベルのサービスを受けられるような体制を敷いているのがポイントだ。
同サービスは、フレッツ光のユーザー向けのサービスとして展開していた。しかしながら、2013年5月21日より「ITサポートtype I」として自社のフレッツ光以外のインターネット回線のユーザーも対象となった。これにより、ターゲット市場を他社の回線ユーザー企業まで拡大させることとなった。その意味では新規ユーザー企業の確保と言う狙いも持っている。
実際の獲得ユーザー数は明確には回答していないが、おおよそ3万件とのこと。また面白いのは地域別では、首都圏よりも地方での実績が高い。つまり地方のほうがこの種のサービスの提案を受けていないために、同社のサービス提案をきっかけとして導入しているケースが少なくないからだ。
(次ページ、中小企業へのITサービス成功の最大の鍵は
「安心感と継続的なサービス提供」)
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