超高級iPhoneバンパー「SQUARE」の最新作と、DAQの面白い3Dプリンター活用
2014年06月25日 17時30分更新
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これだけ美しく、匠の技術に裏付けされたバンパーやケース。お値段はちょっとはります。バンパーは2万5500円ほど、メッシュケースは10万円、そして新作のQUATTROバンパーは5万円です。iPhoneケースとしては確かに非常に高い部類に入るかもしれません。
しかし500円から数千円程度のレンジが当たり前だったiPhoneケースを、質的にも概念的にも一気に飛躍させるこの取り組みは、アクセサリのエコシステムの「日本の戦い方」の1つとなるのではないかと期待を寄せています。
とはいえ、2万5000円、5万円、10万円という金額であることも確か。これをどうプロモーションするか? そのアイディアとして用いられたのが、3Dプリンターでした。
DAQは、株式会社ケイズデザインラボ、株式会社DMM.comと、このQUATTROを3Dプリンタで出力してプレゼントするキャンペーンを6月25日から始めると発表しました。プロジェクト「222」(http://222make.jp/)と名付けられ、SQUAIR初代となるCurvacious Bumperの3Dプリンタ出力バージョンを222名の人に配布しようという企画です。
出力には、3Dプリンタ出力サービス「DMM.make」が持つ高精細な3Dプリンター「ProJet 3500 HD Max」を使用し、届いたバンパーには顔料での染色も体験できる仕組み。高級iPhoneケースの「データ」を使って作られたiPhoneケースが自分のためだけに出力され、色のカスタマイズもできるという世界初のものづくりの試みと言えます。
3Dプリンターで何が起きるか? を身近にする
この企画を考えて持ち込んだのは、ケイズデザインラボの代表取締役である原雄司氏でした。原氏は3Dプリンター普及と、これを活用したものづくりの更なる発展に尽力している人物でもあります。原氏は、企画の背景を次のように語ります。
「メイカーズムーブメントの中で、世界的に見ても、誰もがデータを作るわけではありません。また公開されているデータは、実際に出力する際の素材の特性などを考慮されていない場合が多く、そのまま利用できるものはほとんどありません。そこで、高品質なデータが必要なのが現状でした。今回は、『欲しい!』と思える造型物で実際にiPhoneに装着して利用できる点が面白いのではないでしょうか」(原氏)
原氏は、この企画の中で、すでにあるバンパーのデータを、3Dプリンター向けに「翻訳」したそうです。素材が変わることと、切削から積層というプロセスの違いで、2つあった接続部を1つに減らし、また造型後の収縮やひずみを考慮したデザインの微妙な変更と調整が必要だったと言います。
ものづくりの現場では、こうした考慮すべき誤差を、人の技術とこれに裏付けられた『勘』で吸収してきました。しかしデータで全てを表現しなければならない3Dプリンターの世界。ものづくりの勘と3Dプリンターのノウハウを持つ原氏だからこその翻訳作業によって、実際に使えるケースが自分のために出力されて届く、という試みを実現させたのです。
実は3Dプリンターを使いこなせる人口は多いと語る原氏。ものが作れてしまう事実を知ると、身の回りのものを少し改善できるようなクリエイションが発生するといいます。ご自身も、家族から、100円ショップの商品をハックして新しい使い方ができるように、というリクエストを受けるそうです。
この、「作れてしまう」という感覚を見ることこそ、3Dプリンターが持つメイカーズ革命の裾野を広げる最も効果的な手段と位置づけることができるのではないでしょうか。
3Dプリンターで作られた樹脂のバンパーを手にした人たちが、ジュラルミンの本物を手に入れる確率はかなり高いのではないか、と予想されます。ものづくりのPRにこそ、ものづくりで使う3Dプリンターを活用すべき、そんな原氏の思いは、222個のバンパーとともに、日本中に広がっていくのではないでしょうか。
筆者紹介――松村太郎
1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。
公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura
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