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Interop Tokyo 2014レポート 第13回

Interop Tokyoの基調講演で語った、現実化するSDNへの備え

「ネットワーク技術者も自動化スキル習得を」ジュニパー幹部

2014年06月25日 14時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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“IQの高い”ネットワークを段階的に実現していく

(基調講演より要旨)

 この半年の間に、ジュニパーでは「クラウドビルダー」と「HIGH-IQネットワーク」という2つの戦略を打ち出した。これらは相互に関連したものだ。

 (ネットワークの観点から)適切なクラウド環境を構築するためには、データセンター内だけでなく、ユーザーがどのようなネットワークを経由して、どうやってアプリケーションやサービスにアクセスするかを考えなくてはならない。

 そこで、クラウドデータセンター構築の全体フレームワークとして「MetaFabric」アーキテクチャを提供している。ここにはスイッチング、ルーティング、セキュリティ、SDNのほか、VMware、F5 Networks、IBM、そのほかサーバーやストレージのサードパーティパートナー製品が、オープンなビルディングブロックとして用意されている。顧客はレファレンス設計に従ってこれらを使い、ソリューションを構築できる。

「クラウドビルダー」と「HIGH-IQネットワーク」。DC領域はMetaFabric、WAN領域では「Supercore Architecture」による最適パスの自動構成、そして「MX」エッジルーターでNFV機能が提供できると説明した

――講演では「HIGH-IQネットワーク」についての詳しい説明がありませんでした。具体的にはどのようなものですか。

 たとえば今日、仮想マシンを構成する際には、アプリケーションの要件に従ってCPU、メモリ容量、ストレージ容量などを設定していくだろう。では、ネットワークはどうか。本来はアプリケーションごとにレイテンシや帯域幅の要件があるが、現実には何も手が施されていない。

 さらにアプリケーションの導入後も、適切なパフォーマンスが実現しているかどうか、実際のパフォーマンスを(ネットワークのコントロールプレーンに)フィードバックする手段がない。つまり、物理的なネットワーク(各ネットワーク機器)には大量の(ネットワーク状況の)データがあるのに、それが活用されていないのが現状だ。

 (HIGH-IQネットワークでは)そうしたデータをリアルタイムに取り出し、インテリジェンスやビジネス洞察として活用する。データからネットワークパフォーマンスを把握するというのは、垂直統合型ソリューションで多額の投資をすれば比較的簡単にできるが、ベンダー非依存のオープンな形では難しい。

個々のアプリケーション/ユーザーに適したネットワークパフォーマンスとセキュリティを提供することで、ネットワークサービスの付加価値を高めることができる(画像はジュニパーWebサイトより)

 ジュニパーでは、この課題にここ数年間取り組んで来ており、MetaFabricなどで部分的に発表している(関連記事)。まずはデータセンター内から始め、データセンター間、企業内、企業とデータセンター間、そして最終的にはモバイルデバイスとデータセンター間と、段階的に範囲を広げ、より詳細にパフォーマンスのフィードバックを得られるようにしていく方針だ。わたしが次回来日する際には、もう少し詳しくお話しできるかと思う。

デイビットソン氏が講演で示した、SDNが持つ「可能性」とその成功のために取るべき「道」。同時にこの「道」は、ネットワークエンジニアが将来の職を確保するためにも有効だと同氏は説明した

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