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スバルの新型アイサイトが未来すぎて生きるのがツライ!

2014年06月29日 15時00分更新

文● 藤山哲人  ●車両協力/SUBARU

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ふたつのカメラで高い認識精度

 集中力をずっと持続できる人間はこの世にいない。そのため運転時は、一定時間ごとの休憩が推奨されているが、時間の経過や体調、クルマや気象のコンディションで集中力は落ちてくる。そんなときに、常に気を張って車両の回りや状況を見張ってくれるのがEyeSightだ。

バックミラー左右にあるカメラがEyeSightの目

カメラはキャビン内にあり、常に前方を監視している

カメラとコンピュータシステムはオーバーヘッドパネルにあり、運転時の視界をさえぎることも、圧迫感もない

 つまりスバルは自動運転システムを作りたいワケじゃなく、人に代わって支援する形で、人にできない方法や手段で危険を回避するシステムを作っているのだ。一見すると便利なクルマに見えるが、その開発思想の根本は「事故ゼロを目指すスバルの想い」からきているのである。

 しかも、運転をアシストしてくれるコンピュータとしては世界ナンバーワンのレベルで、かつアクセルやブレーキワークも超ウマイ! 言うならば、助手席に絶対寝ないプロドライバー(しかも本当に必要なときにしか口を開かず、あとは好きなように運転させてくれるイイ奴)を乗せて走っているようなモンなのだ。

常に気を張って前方を監視するEyeSightは、頼りになるナビゲーターだ

同じ衝突回避ブレーキでもEyeSightは精度が違う

 同じ衝突回避ブレーキでもEyeSightの性能はズバ抜けているといってもいい。なぜならEyeSightは、ステレオカメラを使った画像情報を元に解析しているが、他社の場合はほとんどがミリ波と呼ばれるレーダー(電波)を使って解析しているからだ。

 レーダー式は、クルマの前方に電波を発射して、前にクルマや人などがいると反射して戻ってくる電波を捉え、「前に何かいる!」と判断する。映画でよく見る潜水艦が「ポーン」とソナー(これは電波じゃなく音波)を打って探索するのと同じで、「よくわからないけど、1km先に何かいる」って程度の情報が分かる。クルマの場合は「10m先にクルマか人か知らないが、なんか飛び出してきたので急ブレーキ!」となるわけだ。

レーダー式が認識するイメージ(実際の認識とは異なる)。何か分からないが赤丸の部分に、クルマに接近するものがあり、急制動をかけないと衝突する!

 一方、EyeSightはフロントガラスに設置された2台のカメラで撮影した画像を元に、パターン認識で「クルマ」「人(子ども)」「人(大人)」「自転車」「バイク」が進路にいるかどうかを判断する。これだけを区別するだけでもスゲーのだが、ステレオカメラで撮影しているので、それぞれクルマからどのぐらいの距離にいるかも分かる。言い方は悪いが、車の進路に入ってきそうな危険要素を同時に複数ロックオンできるのだ。

EyeSightが認識するイメージ。数十コマ/秒もの画像を処理して、どこに何がいるか、あるかを複数判断する。おそらく動きのベクトル(方向)も検知している

 しかも、EyeSight ver.3からカラーで画像を認識するようになったため「先行車がブレーキを踏んだ」(先行車のブレーキランプの点灯を判断)ことも認識できる。そのため、さらに精度の高い危険回避を予測できるだけでなく、高速道路での追従走行でもその威力を発揮する。

 レーダー式の追従走行は、車速が設定速度未満であれば、先行車との車間距離が開いていればアクセルを開けて加速する。ただ先行車がブレーキを踏んでいてもコンピュータには知る由もないので、アクセルを開けて加速し、予測以上に車間距離が急に縮んでブレーキを踏むことになる。

 EyeSightの場合、車速が設定速度未満で先行車との車間距離も開いているときは、「先行車がブレーキを踏んでいる」と認識するので「アクセルは開けずに様子を見る」となるのだ。

 言い換えれば、一般的なレーダー式は「何か飛び出してからブレーキを踏むまでの反応時間が勝負」のシステム。しかしEyeSightは、フロントガラス越しに見える風景から危険を予測して回避する「人間と同じ“かもしれない”運転」をする。どちらが安全で乗っていて安心かは、言うまでもないだろう。

  メリット デメリット
レーダー式 ・プログラムが簡単
・しくみが簡単
・コストが安い
・対象物の位置と距離把握を瞬時にできる
・最も近いところ、あるもの1つに注目
・危険予測がほぼ不可能
・対象物が不明
EyeSight ・複数の対象物を同時に把握
・対象物の形を把握できる
・危険予測が可能
・車線などを立体的に捉えられる
・対象物の動きを予測できる
・プログラムが難しい
・しくみが複雑
・コストが高い
・対象物の位置と距離把握には複雑な処理と計算が必要

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