前回はNTTドコモのネットワークを使ったMVNOのSIMとして、「BIC SIM powered by IIJ」を購入し、手持ちの「AQUOS PHONE ZETA SH-06E」で使いはじめた。
ブラウザーを使うにしてもアプリを使うにしてもサクサク。しかし、早速問題が起こってしまった。テザリングが使えないのだ。
もちろん別途モバイルルーターを用意すればいいのだが、それではSIMの差し替えを頻繁にしなければならず、非常に不便。そこで、ドコモのネットワークを使った格安SIMは、各機能別にどのスマートフォンを選ぶといいか考えてみた。
ドコモのスマホはテザリングが使えない!?
ドコモから販売されているスマホでテザリングが使えないのは以前から有名な問題なので、覚悟の上で格安SIMを選ぶ人も多いとは思うが、一応おさらいをしておく。
ドコモのスマホでテザリングができない理由は、テザリング時に特定のアクセスポイントに接続する仕様となっているためで、ドコモ契約かつ、spモードを追加したSIMでないとテザリングができない。
ドコモから販売されるスマートフォンの場合、ほぼすべてそのような仕組みになっているため、MVNOはもちろん、spモード以外で接続した場合、テザリングが利用できなくなる。
一方、ドコモ以外から売られているSIMフリーのスマートフォンの場合は、テザリングは通常の通信と同じAPNを使うことが原則のため、問題なく通信ができる。また、一部機種ではテザリング時のAPNを別途設定できるようになっているものもある。
つまり、テザリングを利用したい場合は、ドコモから発売されている以外のスマートフォンまたはタブレットを使う必要がある。
SIMフリー機の弱点
周波数帯が違うのでエリアが……
では、SIMフリーのLTE対応スマートフォンを入手してくればテザリングも使えて万事OKかと思いたいが、そうではない。問題は周波数帯だ。
ドコモのLTEは昨年秋から4つの周波数帯を使っていることを「クワッドバンド対応」としてアピールしているが、これが曲者。メインでネットワークを構築している「バンド1」と呼ばれる2GHz帯で、これは比較的対応している端末が多いが、エリアや通信速度の面では制約を受けてしまう。
さらに1.5GHz帯と1.7GHz帯はこれからエリアが広がっていく周波数帯となるが、ドコモではデータ通信速度を出したい場合の周波数帯と言っているとおり、速さを体感したい場合はぜひとも対応機種がほしい。
1.5GHz帯はドコモ機以外はまず使えず、1.7GHz帯(海外では1.8GHz帯と表記されていることが多い)も対応機種が少ない。ただし、東名阪地域で主に活用される1.7GHz帯は世界的にも利用が見込まれる周波数帯なので、NexusシリーズやiPhoneなどに対応が広がっている。今後対応機種が増える可能性があるのが救いだ。
そこで、ドコモの発売時期と主な機種による対応を違いをまとめた。
記事掲載当初、表のFonepad 7 LTEの項目に誤りがありました。お詫びして訂正いたします(2014年6月22日)
ドコモの場合、Androidスマートフォンは2013年冬モデルからがクワッドバンドに対応。800MHz帯、2GHz帯、1.5GHz帯の3つの対応は2012年冬モデルから。それよりも前の世代のモデルでは、LTEに限れば2GHz帯のみの対応となっている。
また、正規で誰でも手に入るようになったiPhone 5s/5c/iPadのSIMフリー版は手放しですすめられない。本来は出来るはずのテザリングができないことや、SMS対応のSIMを購入しないとLTE通信ができなくなる場合があること、途中で対応が変わった前例があり、自己解決力のない人にはハードルが高い。
そして、現時点でベストと思われる端末も表に挿入した。日本で正規に入手でき、2GHz帯以外に対応している端末は数少なく、最近発売のものではGoogleのNexusシリーズやASUSの「Fonepad 7 LTE」がある。
Fonepad 7 LTEは2GHz帯に加えて800MHz帯と1.7GHz帯に対応しており、7型タブレットではあるが、通話機能も内蔵。通話機能付きのSIMを使えば通信だけでなく通話も行なえる機種である。なお、Fonepad 7 LTEの実売価格は3万7000円前後となっている。

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