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どれが高速!? IEEE 802.11ac製品選び 第1回

理論値最大1300Mbps! 最速のIEEE 802.11acルーターを選ぶ!!

2014年06月17日 12時00分更新

文● 二瓶 朗

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データの通り道を増やす「MIMO方式の拡張」

 「MIMO」(Multiple-Input Multiple-Output)は、複数のアンテナでデータを送受信し、擬似的に広帯域を実現する無線通信技術。

 11nでもMIMOが採用されていたが、利用できるアンテナ数が最大4基だった。11acでは、その上限アンテナ数が8基となり、データをやりとりする通り道の上限が倍増。

 また、MIMOによって障害物が多い環境でも安定したデータ送受信が可能というメリットもある。さらにMIMOが備える「ビームフォーミング」機能でデータ通信を効率よく行なえるようにもなっている(コラム参照)。

 さらに11acでは、MIMOを進化させた「MU-MIMO」(Multi-User Multiple-Input Multiple-Output)が採用されている。

 MIMOでは1基のアンテナから1基のアンテナにのみしかデータを送信できなかった。しかしMU-MIMOでは、1基のアンテナから同時に複数のアンテナにデータを送信できる。

 これによって複数のWi-Fi対応製品がWi-Fiルーターと通信しようとしたとき、それぞれの通信が干渉して通信速度が低下するようことが起きにくくなっている。

電波干渉が起きにくいのもポイント!

 前述の機能の総合的な作用で高速データ通信を可能にしているのが11acだ。ハイビジョンクラスの映像をWi-Fi経由で快適に再生できるし、家庭内でWi-Fi対応デバイスが増え、同時に無線通信するような場合でもそれぞれが干渉しあうことなくデータ通信できる。

 また、11acが5GHz帯を使うというのもポイント。従来使われてきた11b/g/nが2.4GHz帯で通信しているが(11nは2.4GHz帯と5GHz帯の両対応)、2.4GHz帯は電子レンジやコードレス電話など電波を使う家電機器が利用しているほか、PC周辺機器でも無線キーボードやマウスがこの同周波数帯を利用していることが多い。それらの機器の電波が干渉しやく、データ通信に影響が及ぶことがあった。

 また、近隣の各戸でも無線LANを使用していることはもはや珍しいことではないため、普及している2.4GHz帯は意図せずして近隣同士で電波干渉が起きやすい状況にもなっている。

 5GHz帯対応製品なら今のところ、家庭内でWi-Fi機器を使用するのに大きな影響がないのだ。

効率よく通信を行なう「ビームフォーミング」機能とは?

iPhone 5sの無線LAN接続が高速化する「ビームフォーミングEX」という技術も……

iPhone 5sの無線LAN接続が高速化する「ビームフォーミングEX」という技術も……

 11ac対応のWi-Fiルーターには「ビームフォーミング機能搭載」というような文言が書かれていることがある。

 このビームフォーミング機能とは、特定方向に電波の出力を集中させる機能。発信元(ここではWi-Fiルーター)と通信するデバイスがお互いの位置関係を明確に把握することで、それぞれの方向へ電波を強く発信して効率よくデータ通信を行なえる。

 また電波を特定方向にのみ発信するため、ほかの機器の電波と干渉しにくいという利点もある。

 なお、ビームフォーミングは電波をやりとりするそれぞれの機器が対応している必要があるが、最近はバッファローが「ビームフォーミングEX」という独自技術を実用化(詳しくはこちらの記事を参照)。iPhone 5sなど、ビームフォーミングに対応していないスマホ(対応機種は限られる)などでも利用できるようになっている。

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