マーケティング調査のBCNは6月12日、4K市場に関する記者発表会「4Kはデジタル家電の救世主になれるのか――増税後の市場変化と夏のボーナス商戦展望」を開催した。
いわゆる黒物家電のマーケティング調査を実施している同社だが、公表している「BCNランキング」は、全国約2400の家電販売店のPOSデータを使用し、実売数を日時で集計したもの。それをもとに約80のカテゴリーを設け、販売単価と販売金額の前年比をまとめてひとつの指標としたのが「BCN指数」だ。今回の発表では話題の4K市場を軸に、BCN指数を用いたデジタル製品の販売動向を確認するとともに、増税の影響や夏のボーナス商戦に向けての展望が語られた。
BCNアナリストの道越一郎氏は、増税の影響に関して「BCN指数で見ると、3月の駆け込み需要のあとは前年割れが続いており、4・5月の累計ではマイナスのカテゴリーが目立つ。しかしカテゴリーごとにかなりの落差があって、テレビやタブレット、レコーダーなどの販売台数は週次では前年超えをしているなど、すでに回復のきざしが見えている。また、販売金額ベースではPCをのぞき目に見えて復活の傾向を示しており、台数より金額(収益)を重視する市場の動きが定着しつつある。まずは販売金額で増税の影響を脱しつつあるといえるのではないか」とした。増税の影響は一時的なものにとどまっている、というのが同氏の見解だ。
4K試験放送の開始などで認知度が高まりつつある4Kテレビは、50型以上の大型テレビでは初めてシェア構成比が2割を超え、金額面は約4割まで拡大した。平均単価も30万円前半まで下落しており、画面サイズ40型台の製品が徐々に台数を伸ばすなど、「新たな局面を迎えつつある」という。ただし、販売拡大自体は期待できるものの、あくまで現段階は環境を整える「地ならし」の状態であり、拡大に拍車がかかるのは年末商戦以降になるだろうとの見方を示した。
また、さらなる高解像度の「8K」に関しては、現行のテレビのシェアの50%をハイビジョン画質の製品が占めていることに言及し、「あくまでフラッグシップ、ハイエンドの製品として扱われるだろう。すぐに全てのテレビが切り替わることはない。2020年ごろに4Kテレビが現在のハイビジョンの位置を占め、現在の4Kの位置に8Kテレビが来る、ということになるのではないか。8Kテレビの登場を待とうという動きはしばらくあるかもしれないが、4Kの認知が広がれば収束するはず」と語った。
一方、現在市場の動きが活発なのはレコーダーやHDDなどの録画関連製品で、これは盛り上がりを見せるサッカーの効果だろうとしている。苦戦するPCに関しては「タブレットなどの登場で、PCの役割というものが問われている。ボトムが見えず、先行きは不透明なままだ」という。また、増税後ということで、消費者の動向を不安視する声もある夏のボーナス商戦だが、「データを見るかぎり多くのカテゴリーで回復傾向にあり、ボーナス額の上昇ということも言われているので、ある程度は例年通りの盛り上がりになるのではないか」という見解を示した。
道越氏は今後の市場の展開について、「4Kテレビの美しい映像、および高い情報表示力の魅力に気付いた消費者が、チューナーやレコーダー、デジカメなど、徐々にほかの4K製品にシフトしていく。4Kというインパクトのある要素が、デジタル家電市場をこれから多いに盛り上げていくのではないだろうか」とした。