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”中国のApple”、Xiaomiの秘密は「インターネット企業」志向

2014年06月12日 17時30分更新

文● 末岡洋子

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搭載デバイスのメーカーを公表
ネット時代に適応したオープンなプロモーション

 次に触れたのが、製品の品質、ユーザー体験、性能だ。「人々はXiaomiのマーケティングに関心を寄せているようだ。確かにマーケティングに強い人材がそろっている。だがインターネットはオープンなカルチャーを持つ。従来の広告とは違い、クチコミで伝わっていく。(製品が)悪ければ消費者は目もくれないし、悪いウワサはすぐに広まる」とする。インターネットカルチャーへの深い理解があるため、「最初から優れたユーザー体験、最高のハードウェアを提供する」と創業時からこだわっているという。

 ”高品質の製品を”の下に、XiaomiはCPUはQualcomm、液晶はシャープ、カメラはソニーなど世界最高レベルのサプライヤーから部品を調達しており、さらには部品サプライヤー全社名を公開している。このように最高レベルの高品質な部品を使うことで、消費者の信頼や安心を獲得していると分析する。さらには、厳しいテストをすることで欠陥製品が極力混じらないようにしている。またこれらのノウハウは開発チームの多くを占めるというMotorola出身者らがもたらしたのだという。

 この結果、2013年に発表した最新フラッグシップとなる「Mi3」では、当時最高レベルのCPU(Tegra 4またはSnapdragon 800)、ソニー製の13メガピクセルカメラなど最高レベルのコンポーネントを集めて価格は1699元(約2万8000円)。発売から10ヵ月経過した現在でも、Mi3はベンチマークテストで第2位につけているとのことだ。

 さらに売ったら終わりでもない。Xiaomiはスマートフォンが消費者の手に渡った後に実際に利用されているかにも注目している。そして、その結果は満足いくもののようだ。今月はじめに発表された中国におけるAndroid端末のインターネット利用ランキングで、2012年に出した「Xiaomi 2S」はトップを維持した。さらには上位15位中、7機種のXiaomi製品がランクインしている。

iPadと同スペックの液晶で半額のタブレット
スマートテレビにもすでに進出している

 Lin氏は最近発表した新製品についても、品質と性能の2点から紹介した。たとえば発表したばかりのタブレット「Mi Pad」。iPadのRetinaと同じサイズと解像度のディスプレーを持ち、世界で初めてNvidia「Tegra K1」を採用した点をアピールする。Tegra K1はKeplerベースの192コアGPUを搭載する。Antutuでは41000点を上回るスコアを記録したという。16GB版で1499元(約2万5000円)という価格ながら、なめらかで快適なゲーム体験ができるタブレットとLin氏は胸を張る。

Mi PadはiPad Airと同スペックのディスプレーで半額

 もう1つ紹介したのが、「Mi TV」だ。スマートフォンと同じやり方で良い製品を開発できるか、TV業界に目を付けて開発した新カテゴリーで、すでに第2世代の「Mi TV 2」を発表している。「見た目はTVだが中身は強いパソコン」というMi TVは、クアッドコアCPUを搭載、Androidアプリを動かすことができ、画面は4Kの3Dディスプレイを搭載した。

すでにスマートテレビにも進出。4K対応の49型で3999元(約6万6000円)

 画像だけではなく、動画でもう1つ重要となる音声にも目を付け、8スピーカー、100Wの重低音(Sub Woofer)にもこだわった。リモコンも特徴的だ。ボタンは合計11個、数字ボタンをいっさいもたないというシンプルなもので、赤外線ではなくBluetoothで接続する。そのため、TVに向けることなく操作でき、バッテリー持続時間は1年以上。なくしてしまったらTV画面の下に手をあててリモコンを探す指示を選択し、ブザーをならすことで発見できるという。スマートフォンをリモコン代わりにし、音声認識により動画を探すなどのことも可能という。

 これらの取り組みが奏功し、Xiaomiは着実にユーザーの心をつかんでいるようだ。これまでユーザーがWeiboなどに投稿した数は1億5000万以上に達した。「批判もあったが、励ましもたくさんもらった」とLin氏。単にユーザーというより、結びつきが強いコミュニティー、あるいはファンも生まれており、XiaomiのUI「MIUI」のマレーシア語などはユーザーが翻訳を行なっている。

 MIUIの公式対応機種は48機種だが、コミュニティーにより175種に広まった。ファンによるMIUIのテーマ開発も活発という。オンラインだからこそのオフライン活動も活発に行っており、2013年にはXiaomiが19回のイベントを開催した。ファンが自分たちで開いた非公式イベントは500にのぼるという。

オフラインでのファンイベントも行なわれている

裏側の強力なサポート・流通がXiaomiを支える
ただし、日本への展開の予定は現在無し

 Lin氏はこれらの「表」の部分に触れた後、「eコマースで大切なのはアフターサービス」としてコールセンターと修理サービスなどの「裏方」も同時に紹介した。現在1700人が勤務するコールセンターは24時間体制で応対にあたっている。アフターサービスは600人が従事し、”Xiaomi homes”とする修理センター18ヵ所を持つ。このXiaomi homesでは「1時間での修理」を約束しており、できなければ20元を払うするというユニークな仕組みを導入した。「せっかく来てもらったのに、後日取りに来るようなことがないように」と1時間ルールの背景を説明する。

 eコマースで重要な物流も改良を続けている。倉庫物流スタッフは現在約1500人。10ヵ所の大規模な倉庫を持ち、現在の最高記録は11月11日のMi Fan Festivalで記録した1日50万の発注という。

 ちなみに「最初からインターネット会社を作ると決めていた」と語るLin氏に、スピーチ後に「自社をたとえるならGoogle? Apple? それともAmazon?」と聞いてみた。しばらく考えた末に「Amazonが近い。だがわれわれはまったく新しい会社を目指している」と自信を見せた。現在は元GoogleのBarra氏の下で国外展開を進めているさなかだが、日本は「現在計画に入っていない」とのことだった。

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