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四本淑三の「ミュージック・ギークス!」 第137回

想像も付かない新しい音を期待したい

Uni-Vibe復刻は30年止まった楽器の考えを一新させるため

2014年06月07日 12時00分更新

文● 四本淑三

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個体差の大きいUni-Vibeと、そのイメージに近づけるNuvibeの仕組み

―― いわゆるUni-Vibeのクローンとも音を比べたりしました?

森川 しましたね。でも、やっぱり違うなと。

三枝 中にはCdSを使ってやっているところもありますよね。

森川 それでもCdSはバラつきが大きいので、音が違うんですよ。

―― YouTubeなんかを見ていても、オリジナルのUni-Vibe自体も個体によって随分音が違いますよね。

三枝 昔の部品というのは20%くらい各々の部品の誤差があるんですよ。それが全部集積すると100%超えたりしますから。それと、部品が足りないとかで、最初の設計と少しずつ変わってきているんですね。だから物によって音が違うことは間違いないです。それに、世の中にはUni-Vibeの回路図というものも出回っているんです。

森川 検索すると手書きの回路図が出てくるんですよ。

三枝 そのうち、もっとも普及しているあるひとつのものは間違っています。その原図を描いたのは、たぶん私だと思うんだけど。というのは配置がまったく同じですし、言葉も同じなんです。ただ、それを写した人が結線を間違っちゃったんですね。それが世の中に出回っています。

―― 市場に出回っている数も多くない、個体差も大きい、回路も間違って伝わっている。ということは人によってUni-Vibeの音のイメージも違うわけですね。

森川 最初はこれがなかったんですよ(WAVEスライダーを指さしながら)。CdSが独特な波形を出力していることがわかって、普通のLFOを作る回路ではうまく再現できなかった。だったら、こうやって作ってしまおうと。

オリジナルにはないWAVEスライダーの基板部分。10個のスライダーを動かして、音を揺らすLFOの波形を作る。CdSの揺れ具合を再現するだけでなく、自由に波形を設定できる。ノブには赤いLEDが埋め込まれ、周期に同調して光るギミック付き。森川さんの発案により付加された

Uni-Vibe(上)とNuvibe(手前)。Nuvibeには10個のスライダーがあり、DC9V仕様(単3形アルカリ乾電池6本orACアダプター)でヒューズホルダーがない

―― つまり、このスライダーでLFO1周期分の波形を描くわけですね?

森川  そうです。

三枝 MS-20のオプションでSQ-10※1というシーケンサーがあったんですけど、最初はまずシーケンサーで波形を作って、これにつないでみたんですね。

森川 それで結構行けるんだなということがわかりましたね。

※1 「SQ-10」は1978年に発売されたアナログのステップシーケンサー。iPad用アプリ「iMS-20」にもシーケンサーのインターフェース画面として登場する。

(次ページは、「言葉が音を作る上での縛りになってはいけない」)

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