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Apple Geeks 第146回

アップルの新言語「Swift」がすべてを変える

2014年06月06日 18時30分更新

文● 海上忍(@u_shinobu

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Swift登場の背景とその特徴

 Swiftという開発言語を形にした中心人物は、Appleに勤務するChris Lattner氏。基調講演の場で、Xcodeを利用したライブコーディング・デモを見せてくれた彼だ。

基調講演で行なわれたライブコーディングのデモ。開発者向けに提供開始されたXcodeの最新ベータ版で試すことができる

 Lattner氏のサイトによれば、Swiftの開発がスタートしたのは2010年7月。開発言語としての基礎部分は彼を中心とした数名で実装を進め、その3年後にはAppleのDeveloper Toolsグループにおいて注目される存在になったという。

Chris Lattner氏のウェブサイト

 Swift最大の特徴は、インタープリタ型の開発言語ということだろう。実行前のコンパイル処理は不要、Xcodeの画面へ入力したコードは逐次実行され、ただちに結果を確認できる(Playgrounds機能)。他の言語でお約束の「main()」は必要なく、コマンドラインからSwiftファイルを入力し実行することも可能だ。その点では、スクリプト言語に近いともいえる。

このように、Swiftで記述した結果を画面ですぐに確認できることは大きなメリットだ(Apple Webサイトより抜粋)

 文法に関する面におけるObjective-Cとの比較では、型や数値/文字列の扱いが(いい意味で)緩いことが挙げられる。たとえば、ある変数に「Neko」を代入すれば推定によりString型となり、「80」を代入すればInteger型となる。switch-case構文も文字列など数値以外のデータを渡せるうえ、「where」を使い細かい条件を設定できる。コーディングの自由度は、他の言語の長所・短所を踏まえつつ設計できたからだろう。

 インタープリタライクに使えてスクリプト風に記述できコーディングの自由度が高いというSwiftの特徴は、新設計の開発言語だからこそ実現できたものだ。自動メモリ管理(ARC)に対応するなど、Objective-Cも以前に比べれば改良が進んでいるが、そこまで抜本的に変えることは難しい。Swiftを投入した背景には、開発環境/言語を抜本に変えたいというニーズがあったことは確かだろう。

基調講演終了後間もなく、Swiftの入門書がiBook Storeで無償公開された

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