Swift登場の背景とその特徴
Swiftという開発言語を形にした中心人物は、Appleに勤務するChris Lattner氏。基調講演の場で、Xcodeを利用したライブコーディング・デモを見せてくれた彼だ。
Lattner氏のサイトによれば、Swiftの開発がスタートしたのは2010年7月。開発言語としての基礎部分は彼を中心とした数名で実装を進め、その3年後にはAppleのDeveloper Toolsグループにおいて注目される存在になったという。
Swift最大の特徴は、インタープリタ型の開発言語ということだろう。実行前のコンパイル処理は不要、Xcodeの画面へ入力したコードは逐次実行され、ただちに結果を確認できる(Playgrounds機能)。他の言語でお約束の「main()」は必要なく、コマンドラインからSwiftファイルを入力し実行することも可能だ。その点では、スクリプト言語に近いともいえる。
文法に関する面におけるObjective-Cとの比較では、型や数値/文字列の扱いが(いい意味で)緩いことが挙げられる。たとえば、ある変数に「Neko」を代入すれば推定によりString型となり、「80」を代入すればInteger型となる。switch-case構文も文字列など数値以外のデータを渡せるうえ、「where」を使い細かい条件を設定できる。コーディングの自由度は、他の言語の長所・短所を踏まえつつ設計できたからだろう。
インタープリタライクに使えてスクリプト風に記述できコーディングの自由度が高いというSwiftの特徴は、新設計の開発言語だからこそ実現できたものだ。自動メモリ管理(ARC)に対応するなど、Objective-Cも以前に比べれば改良が進んでいるが、そこまで抜本的に変えることは難しい。Swiftを投入した背景には、開発環境/言語を抜本に変えたいというニーズがあったことは確かだろう。
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