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myrmecoleonの「グラフで見るニコニコ動画」 第27回

オリジナル楽曲のるつぼ「ニコニコインディーズ」も同時調査!

じつはニコ動有数の規模「演奏してみた」の世界を覗いてみた

2014年06月05日 18時00分更新

文● myrmecoleon

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ボカロだけじゃないオリジナル曲「ニコニコインディーズ」

 「演奏してみた」や「歌ってみた」でもしばしば投稿されていますが、ボカロや既存曲のアレンジ以外にもニコ動発のオリジナルな楽曲は存在します。初期でも「エアーマンが倒せない」などが有名ですが、こうしたオリジナル曲は目立たないながらも継続して投稿されていました。

 こうした動画は「音楽」「演奏してみた」「歌ってみた」などのカテゴリで投稿されていましたが、再生数も伸びず埋もれることが多く、また「オリジナル」「オリジナル曲」「自作曲」などのタグはあったものの統一はされず、タグ自体のない動画も多いため見つけづらくなっていました。

 2009年4月にボカロPであるとともにその他でのオリジナル曲の投稿も多いあかやかPが「VOCALOID・UTAU・東方等の特定の括りに属さないオリジナル曲」に付けるタグとして「ニコニコインディーズ」(略称はNNI)を提唱、その後投稿者を中心に普及し、2011年12月にはカテゴリタグとして正式に採用されました。ちなみにユーザーから出たタグがカテゴリタグになった例は他にもありますが、特定の提唱者のいるタグ名がカテゴリタグとなったのは「ニコニコインディーズ」のみです。

 ちなみにこれに先行する試みとしては2008年6月にメイス氏によりオリジナル音楽の動画を発表して「テレパスミュージック」というタグでつなげよう、という実験をしており、これまでに800以上の動画が投稿されています。

 「ニコニコインディーズ」タグの付いた動画はこれまでに約8500名のユーザーにより約3万5000個が投稿されています

 投稿数の推移を見ると、タグが提唱された2009年4月以降100投稿以上となり(遡って付けられているケースが多いためそれ以前にも投稿はあります)、2010年には月間400動画ペースと拡大、カテゴリタグとして採用されて以降はさらに投稿数が増え、現在は月に600~800動画が投稿されています。

 「春ニカ祭」というエレクトロニカジャンルの投稿企画が2011年以降毎年3月に行なわれており、この時期は投稿数が増えるようです。

2014年5月時点で視聴可能な「ニコニコインディーズ」タグの付いた動画の月別の投稿動画数とそのユニークな投稿者数、および新規の投稿者数。2014年5月は26日まで。言葉自体が2009年に作られたものなのでそれ以前は遡って付けられたもの。カテゴリタグとなった2011年末に投稿数が増加した

 動画の特徴としてはコメント・コメント率が非常に少なく、再生数も非常に低い傾向ですが、マイリスト登録率はカテゴリタグのなかではもっとも高いです。

 再生数の中央値は206。1万再生以上が2.2%、上位0.92%の投稿者の動画に全体の再生数の半数が集中しています。VOCALOIDタグなどと比べると投稿者毎の偏りは小さい一方で動画毎の偏りが大きいようです。このことは“ニコニコインディーズの投稿者”として継続して複数のヒットをしているユーザーが珍しい状況を意味しているかもしれません。

 演奏してみたと同様に、女性の投稿者・海外からの投稿者は少なめながら前年より増えてきているようです。またタグとして新しいこともありプレミアム会員の比率はカテゴリタグのなかでは特に高く、半数以上がプレミアム会員です。

「ニコニコインディーズ」タグの基本データ
合計 中央値 参考:前年の中央値 参考:全体の中央値
再生数 5866万321 200 199 501
コメント数 164万3408 3 4 17
マイリスト登録数 203万6965 4 5 3
コメント率 - 1.64% 1.96% 3.12%
マイリスト率 - 2.46% 2.78% 0.83%
「ニコニコインディーズ」タグの投稿者データ(公開ユーザーのみ)
タグ投稿者 参考:前年の値 投稿者全体
プレミアム会員の比率 52.38% 52.21% 36.00%
女性の比率 14.83% 14.41% 25.56%
国外からの動画投稿者の比率 4.12% 3.64% 6.34%
平均年齢 26歳 25.2歳 24.4歳

※コメント率・マイリスト率はそれぞれコメント数・マイリスト登録数を再生数で割った値。拙著同人誌『ニコニコ動画統計データハンドブック2014』より抜粋。2013年12月上旬調査時点の値。前年データは連載第7回掲載と同じ。

タグを使っていないオリジナルヒット曲も……
さらなる認知度向上が必要?

 ニコニコインディーズでも動画によく付いているタグの推移を調べてみました。

 ちなみに「ニコニコインディーズ」タグは現状オリジナル曲だけでなく、ニコニコインディーズ発の楽曲のカバー・アレンジ・リミックス・PV等も含むことになっており、代わってオリジナル曲については「NNIオリジナル曲」のタグを付ける方針のようですが、このタグがついていない動画でも同タグの動画はオリジナル曲が大半です。「ニコニコインディーズ」発で人気となった曲はいくつかあるのですが、それらをあえて「ニコニコインディーズ」タグを付けて投稿するケースはまれのようです。

 カテゴリタグとなる2011年以前の動画はもちろん、それ以降でも他のカテゴリタグの「音楽」「歌ってみた」「演奏してみた」のタグが付いているケースが多いです。このことはカテゴリ間の関係性の深さ、たとえば投稿者の素性(歌ってみたや演奏してみたの投稿者がオリジナル曲を投稿することが多い)とともに、オリジナル曲であっても「ニコニコインディーズ」タグが投稿時のカテゴリとして選択されていない傾向を示しています。

 たとえば今回「ニコニコインディーズ」タグの付いた動画で最も再生数の多かった米津玄師の「ゴーゴー幽霊船」は音楽カテゴリの動画で、彼は以降もボカロ以外のオリジナル曲は音楽カテゴリで投稿しています。

 同様に「音楽」「歌ってみた」「演奏してみた」のカテゴリで現在投稿されている動画が、後から「ニコニコインディーズ」の条件を満たすためにこのタグが付けられている傾向があります。積極的に避けられている、あるいは別のカテゴリが選ばれている側面もあると思いますが、「ニコニコインディーズ」のタグ自体がまだあまり知られていないのかもしれません。

 楽曲のジャンルを示すタグとしては「エレクトロニカ」「テクノ」が継続して多いです。「DTM」のタグが多いことからもわかるように、どちらかというと電子音楽方面の作者中心に投稿されていたようです。一方、カテゴリタグとなって以降では「ロック」や、従来は音楽カテゴリ方面でよく活動していた「ニコラップ」(オリジナルのラップやその提供トラックの動画)の投稿も増えています。

 ちなみに2008年から2010年頃の下位に見える「菩薩P教え子リンク」とは以下の「初心者のための作曲講座」らの動画を参考に作曲を勉強して投稿した動画に投稿者が自主的に付けたタグです。VOCALOID・ニコニコインディーズなど900以上の動画がこのタグをつけており、ニコニコ動画におけるオリジナル曲投稿に多大な影響を与えた動画の1つといってもいいでしょう。

菩薩Pによる作曲講座シリーズの1回目。初歩の初歩から丁寧に作曲のイロハを教えてくれる。このシリーズから多数の教え子が育った。菩薩Pの名は動画についた「菩薩の如く丁寧」というタグから。

各年のニコニコインディーズタグの動画について多かったタグを順に並べたもの。システム関連のタグ、「もっと評価されるべき」など一部のタグは除外。2014年は5月まで。カテゴリタグは緑、楽器や演奏方法のタグは青、演奏する曲のジャンルに関連するタグは赤、その他のタグは灰色に塗ってある

 VOCALOIDや歌ってみたの規模に埋もれがちですが、演奏してみたは音楽動画でも有数の規模をもつカテゴリです。演奏する楽器は多様で、よく演奏される楽器も少しずつですが変わってきており、演奏する楽曲もアニソンからボカロ、ボカロから再びアニソンへと移り変わっているようです。

 また演奏してみたでも多いですが、VOCALOID周辺以外でもオリジナルの楽曲を投稿するユーザーは増えてきています。従来は「音楽」「歌ってみた」「演奏してみた」などに分かれて見えづらくなっていましたが、「ニコニコインディーズ」のカテゴリタグ化以降は少しずつ合流してきているようです。

 まだまだこのタグの付かないオリジナル曲の動画も多いですが、踊ってみたやMMDでは「スイートマジック」や「夏恋花火」のようにニコニコインディーズからヒットした流行も起こっており(同様の傾向のある「Girls」「Lamb.」は音楽カテゴリですが)、ボカロ以外のニコ動発の楽曲は今後も盛り上がっていくのではないでしょうか。

ボカロPの「Junky」と歌い手の「ろん」のコラボによるオリジナル曲。踊ってみたで人気が出た後、前回紹介した東方の動画でMMD方面で大ブレイクした。ちなみに2011年に複数の作者が参加して企画された「NNIオリジナルアルバム『&』」という仮想アルバムの1トラック目でもあります。

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