このページの本文へ

前へ 1 2 3 4 次へ

四本淑三の「ミュージック・ギークス!」 第136回

Nuvibeの製品開発者に聞く

伝説のエフェクター「Uni-Vibe」復刻版の回路は一晩で書かれた

2014年05月31日 12時00分更新

文● 四本淑三

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

CdSを置き換える回路は一晩で

―― 森川さんは、なぜNuvibeを担当することになったんですか?

森川 三枝がUni-Vibeを作ったという話は聞いていて、回路的にとても面白いものなので、その原理を解説していただきましょうという、社内の勉強会みたいなものがあって。その中で話が盛り上がってきて、じゃあ作りましょうとなったときに、配属されたてで何も担当製品がなかったものですから……。

―― あの、なんか無理やりやらされた感が。

森川 最初はもっと「簡単なお仕事」みたいな感じで言われていてですね……。

三枝 あはははは。いやいや。

森川 この中に豆電球とCdSが入っているんですけど、抵抗値が波のように変わるんです。「それがどうなっているのかを調べてよ」というのが、最初の仕事だったんです。エフェクターのLFOの波形って大事なんです。三角を入れたり四角(矩形波)を入れたり、ノコギリを入れたり。そのどれとも違う独特の波形をしているらしくて、どう動いているかを調べた人が社内でもいなかったんです。

―― 森川さんは大学でそういう研究をされていたんですか?

森川 専攻は材料工学で、どっちかというとCdSがどういう風にできているか、CdSを作りたいという側の人間なんです。最初はそっちで粘っていたんですけど。

―― ああ、なるほど!

三枝 僕らのような電気屋は、素子を作るという発想はないですよね。回路で何とかしようとしますよね。彼は、素子で何とかしようという。CdSがないんだったら別の方法で、素子そのものを作って、それで置き換えればいいんじゃないかと。

森川 実際にメーカーと話をしたりもしたんですけど、向こうもやったこともないものをいきなり作れと言われても、難しいみたいで。あまり話がうまく行かない間に、三枝がその(トランジスタで置き換える)回路を一晩くらいで書いてきたんですよ。

三枝 えへへ。

―― あれっ? じゃあ一晩でできたんじゃないですか。

三枝 いやいやいや、最終的には彼がだいぶ手直しをしてね、苦労しましたよね?

森川 問題が多くて基板は何回も作り直しましたね。3、4回は作り直しました。

―― 三枝さんは、一晩で書けるならなぜ今までまでやらなかったんですか。

三枝 それは彼が材料を一から作って、ものすごい投資をしてやりたいというから、その反動で、まあ、つい。いや、それは嘘ですけど。

(後編へ)



著者紹介――四本 淑三(よつもと としみ)

 1963年生れ。フリーライター。新しい音楽は新しい技術が連れてくるという信条のもと、テクノロジーと音楽の関係をフォロー。趣味は自転車とウクレレとエスプレッソ

■関連サイト

前へ 1 2 3 4 次へ

カテゴリートップへ

この連載の記事

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン