高性能パネル&バックライトと高画質エンジンで
画質を追求!! 東芝「REGZA 58Z9X」
東芝の「4K REGZA」ラインナップは、地デジ6chとプラス1チャンネルの追加が可能な「タイムシフトマシン&タイムシフトプラス1」を搭載した「Z9X」シリーズ(84V/65V/58V/50V型)と、タイムシフトマシンを省略したもののそのほかの機能はほぼ同等の「40J9X」の2シリーズで構成されている。
ここでは58V型の「58Z9X」(実売価格44万円前後)を使って機能や画質を紹介していく。
高画質技術としては、東芝も4Kテレビの広色域表示と、明るさ方向のダイナミックレンジ拡大を追求。これを可能にしたのが独自で開発したバックライト「直下型広色域LED採用4Kダイレクトピュアカラーパネル」だ。
色純度の高い白色LEDの採用で色域を約30%拡大。さらには、画面輝度を約75%向上した高輝度表示まで実現している。もちろん、直下型LEDのエリアコントロールも採用し、暗部の黒の締まりと、まぶしい光の輝きの両方を再現できる。
こうしたハード的なアプローチに加え、東芝自慢の高画質エンジン「レグザエンジンCEVO 4K」をフルに活用し、高性能なパネルとバックライトの実力をフルに引き出している。数々の超解像技術はそのまま継承し、Z9Xシリーズでは新たに「光解析 輝き復元」と「ハイダイナミックレンジ復元」が盛り込まれた。
前者は精密な画像解析により、物体そのものの色成分と光を受けて輝いている成分に分離、この輝き成分を個別に制御して映像本来の輝きを取り戻す技術。
後者は、撮影時に白飛びが起こらないように圧縮して記録された白方向の階調を、多くの撮影用カメラのデータを元にテレビ側で復元して表示するもの。大げさに言ってしまえば、カメラの性能限界を超えた白の階調を電気的に復元する技術だ。
その映像は、一言でいえば鮮明。明るく精細で、力強さを感じる映像だ。4Kビデオカメラの4K/30p映像を見てみると、曇り空の微妙な色の変化をしっかりと再現するし、明暗の再現がはっきりとしていて、立体感のある映像になる。
精細感やディテールの再現もかなり詳細に掘り起こす印象で、映像ソースに元々乗っている暗部ノイズがちょっと目立ち気味になるほどだ。
花の映像では、明暗にメリハリがあり、色もくっきりと表示。忠実志向の東芝が派手な映像にシフトしたのかと勘違いされそうだが、決して違和感のある派手さはなく、品良くまとめられている。
むしろ、今までの東芝が忠実さや質感の高さが印象的だったが、色についてはおとなしすぎたと言える。忠実な映像再現をキープしながらも、映像に力を与える輝度と色の再現を高めることで、かなりステップアップを果たしたと言える。
トータルバランスの高さと自然な見え方をするソニーと、輝きと色のパワーで強くアピールする東芝、その実力についてはまったくの互角で、できるならば両方を手に入れてソースに合わせて使い分けたいほど。見る人によってはっきりと好みが分かれると思うので、購入を検討するならじっくりと見比べることをオススメする。
店頭で確認する場合の注意点としては、展示された状態では明るすぎるため、どちらもギラついた映像になりやすい。可能ならば照明を落とした状態で視聴できる店舗で、一般的な家庭環境向けのスタンダードモードなどにしてから画質を確認するようにしたいところだ(暗室である必要はない)。
その場合、東芝の方が見映えがし、パッと見た印象は良好に感じることが多いだろうが、そこで即断せず、どちらもじっくりと時間をかけて見よう。ソニーの持ち味は少し見続けていた方が良さが感じられるので、両者をキョロキョロと見比べるのではなく、一台ずつじっくりと見て判断した方がいいだろう。
(次ページに続く、「シャープとパナソニックの4Kテレビ」)
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