フリッカーが発生する原因は?
では、フリッカーが生じる原因とはなんだろうか。答えは、LEDバックライトを搭載したディスプレーで採用されているパルス幅変調方式(以下、PWM方式)にある。
PWM方式は、ディスプレーの輝度をコントロールする際に、バックライトのオン/オフを高速に繰り返すことで輝度を調整するという方式だ。輝度100%の状態では機能しておらず、ユーザーが輝度を下げれば下げるほど1秒あたりのオン/オフの繰り返し回数を増やし、画面が暗く見えるようにしている。この結果としてフリッカーが発生しやすくなる。もちろん、画面を暗くするほどフリッカーを認識しやすくなるのだ。
また、低い輝度でフリッカーが生じる原因としては、LEDの応答性の速さがある。蛍光管のようにオフにしてもゆっくりと光が低減するといったことはなく、スマホに搭載されているLEDライトを見てもわかるように、LEDの場合はオン/オフがとても明確だ。
自分のディスプレーのフリッカーを確認せよ!
PWM方式の動作周波数は高く、当然ながらその周波数が高いほど人の目はフリッカーを認識しない。そのため、今目の前にあるディスプレーでフリッカーが起きているのかを確認するのはなかなか難しい。ただ特性を利用することである程度の確認を行なえる。最も簡単な方法は、「目を水平に動かす」ことだ。
太陽光下の場合はとても自然にぼけるが、PWM方式バックライトの場合は残像が残る。まずはこれで確認してみよう。
このほか、わかりやすい確認方法としてはカメラやビデオを使った撮影がある。
特にビデオの場合は、PWM方式によるフリッカーがよくわかる。掲載したビデオを見ると、輝度100%の場合は明滅などしておらず、輝度50%、輝度25%、輝度0%と変更するにつれて、画面の明るさがあまり変わらずにフリッカーを引き起こしているのが理解できるはずだ。
PWM方式では、美しい映像が台無しに
PWM方式ディスプレー撮影サンプル(輝度100)。この輝度では、フリッカーは発生しない |
PWM方式ディスプレー撮影サンプル(輝度50)。せっかくの美麗画像がザンネンなことになってしまっている |
PWM方式ディスプレー撮影サンプル(輝度25)。さらにザンネンなことになってしまった |
PWM方式ディスプレー撮影サンプル(輝度0)。画面全体が暗くなっているわけではない点にも注目 |
フリッカーが健康に及ぼす影響はというと、先に挙げたように、肩こりや頭痛、ストレスなどがある。蛍光管も、かつて周波数100Hz-120Hzでフリッカーが生じており、それが原因でストレスや頭痛の要因となった背景があり、周波数を高めた安定回路が開発された。
PWM方式での周波数はそれよりも低くなるため、肉眼ではまったくわからなくても、フリッカーの影響を受けている可能性が高いのだ。特に、長時間ディスプレーを見ていることの多い職業であるほど、その影響が多いのは想像にたやすいだろう。