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顧客の方が商品情報に詳しい時代にどう営業する?

時代錯誤な営業現場が変わる?インサイドセールス最前線

2014年05月27日 06時00分更新

文● 大河原克行

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フィールドセールスの強みを最大限に発揮

 ブリッジインターナショナルでは、セグメント別プロセス分業モデルを提案しながら、インサイドセールスの効果的な活用を提案する。たとえば、見込み創出、機会醸成といった部分はインサイドセールスが担当。案件の成約獲得に関しては、フィールドセールス(訪問営業)が担当し、さらに納品後の関係熟成ではインサイドセールスが担当するという完全分業型だ。もちろん、顧客の状況に応じて、インサイドセールスとフィールドセールスの役割を分担したり、協業したりといった提案も可能だ。

ブリッジインターナショナルが提案するセグメント別分業モデル

 「フィールドセールスがもっとも得意とし、最大の力を発揮するところは、案件のクロージング。そこに、力を集中できる体制を作ることができる。これまでのように、フィールドセールスが営業プロセスのすべてを担当せざるを得ず、活動にムラや抜けといったことが発生する、といったことを防止でき、営業活動の生産性、収益性を高める効果が期待できる」とする。

 ブリッジインターナショナルが提供するインサイドセールスアウトソーシングサービスでは、これまでの訪問型営業部門とは別に、インサイドセールス専門組織をブリッジインターナショナル内に仮想的に設置。専任担当者が1人120社ほどの顧客に対して、連日、電話やメールなどを通じた見込み案件の発掘活動を行なう。ここで案件が醸成された段階で、フィールドセールスに案件を渡し、クロージングは訪問営業によって行なうことになる。

 「今月までにいくらという商談はフィールドセールスの仕事。インサイドセールスは数カ月後の見込み案件がいくら、半年後の見込み案件がいくらという数字を積み上げるのが仕事。この2つの営業組織が対等な関係で動くことが成功の鍵になる」とする。

成功報酬型の契約が増加する背景

 ここにきて、同社のインサイドセールスアウトソーシングサービスでは、成功連動型の報酬契約が増加しており、インサイドセールスによる売上げ増がそのまま報酬に直結する契約になっているという。こうした契約が成り立つのもインサイドセールスが成果につながっている企業が多いためだろう。

 一方で、日本ではこんな動きもでている。それは、インサイドセールス部門への人材活用において、シルバー人材を登用しようという動きだ。「営業経験を持った即戦力として、営業機能を期待できること、現役社員へのノウハウ移転ができること、労働力を維持することで企業競争力の低下を防止できるというメリットがある」(吉田氏)。ブリッジインターナショナルでは、インサイドセールス人員育成のためのサービスを提供しているが、「今後は、シルバー人材向けのメニューも用意していきたい」とする。

今後はシルバー向けのインサイドセールス教育を行なうという

 日本においても、インサイドセールスを活用する企業は着実に増加している。そうしたなかで、インサイドセールスのスキルを持った人材の育成も急務になっている。

 吉田社長は、インサイドセールスが成功する要素として、「著名な企業であり、ブランドがあること」「さまざまなポートフォリオを持ち、それらの製品やサービスがしっかりし、幅広い提案が可能なこと」「中小企業に対しても提案できる製品であること」を挙げる。

 まだ、強いブランドを持った企業がインサイドセールスの効果を享受しやすいといえるが、規模の小さい企業でも、インサイドセールスを採用する動きが出てきているという。インサイドセールスの市場が確実に広がりをみせているのは明らかだ。営業の生産性向上を真剣に考える時期に来ているのは確かなようである。

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