MSP事業、デュアル・ネットワーク環境への新たな挑戦
日本通信は、2010年11月、トライアングル革命を提示した。
ネットワーク、デバイス、販売の3つをトライアングルの頂点におき、それぞれの領域において改革を進め、オープン化していかなくては、日本のモバイル通信環境が開放されないという強い信念のもとに打ち出したものだ。
日本通信の三田社長は、「通信キャリア事業を行う上での重要なコンポーネントは、ネットワーク、デバイス、販売の3つである。私は、日本の3つの環境をオープンな環境に変えなくては、情報社会の進展はないと考えてきた」と前置きし、「ネットワークはキャリアが独占し、デバイスは、メーカーがメーカー名を出さずに販売してきた。そして、販売ルートはキャリアの直営店が主導権を握っており、決まったルート以外にはオープンな形では販売できなかった。しかし、ここにきて、ネットワークのオープン化はMVNOへのネットワーク解放によって実現され、デバイスでは、ようやくメーカーの努力で自らのブランドで展開できるような環境になってきた。販売ルートに関しても、当社の取引先でも、イオンのほかにも、ヨドバシカメラ、アマゾンを通じた販売を開始しており、SIMを組み合わせて自由に端末を販売できるオープンな環境が整ってきた」と語る。
だが、三田社長は、SIMフリー環境の加速など、まだまだ改善すべき点が多いという。
日本通信では、2014年度の注力領域として、SIMとスマートフォンとの完成品としての販売を加速する一方で、MSP(Mobile Solution Platform)事業およびデュアル・ネットワーク環境への取り組みを掲げている。
MSP事業では、1台のスマートフォンで内線、外線電話を利用可能にするFMCフォンの提供が鍵になる。また、デュアル・ネットワークでは、NTTドコモ以外のネットワークを回線を利用し、切り替えながら利用できる環境を提案していくことになるという。
これらも日本では新たなサービスとなる。日本通信は、引き続き、新たな領域への挑戦を開始しているようだ。
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