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太平洋マグロの資源管理とともに完全養殖に向けての第一歩

水産総合研究センター、陸上水槽でのクロマグロの産卵に成功

2014年05月23日 19時08分更新

文● 行正和義

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大型陸上水槽で飼育されてるクロマグロ(3歳)

 独立行政法人 水産総合研究センターは5月23日、採卵を目的とした大型陸上水槽としては世界で初めてクロマグロを産卵させることに成功、受精卵を確保したと発表した。

西海区水産研究所まぐろ飼育研究施設

 従来、人工的に養成したクロマグロ親魚からの採卵は日本の数箇所において海面のいけすで行われているが、水温などの自然環境条件が海域や年により変動するため採卵成績は非常に不安定となっていた。このため、農林水産技術会議委託プロジェクト研究として、環境条件を制御可能できる大型陸上水槽を用いて親魚から計画的に安定採卵できる技術を開発していた。

初回産卵で得られた受精卵(産卵 1 時間後、平均卵径999μm)

 採卵に成功したのは長崎県にある西海区水産研究所で、2013年6月から収容したクロマグロ(2歳魚、体重約15kg)126尾を対象に、水温や日照を制御した環境制御プログラムに基づいて養成、今年5月16日に大型陸上水槽としては世界で初めてクロマグロが産卵、水槽内に産出された卵は水流によって隣接する採卵槽に誘導・集卵された。総数1万5400粒が採卵され、そのうち9600粒が受精卵という。5月18日には卵のふ化は完了し、仔魚7840尾が誕生した。産卵数はまだ少ないが、23日現在もまだ産卵は継続しているという。

得られたふ化仔魚(平均全長 3.25mm)

 近年になって資源状態が悪化している太平洋クロマグロについては、漁獲枠を規制する国際的な管理強化が進んでおり、安定供給のために養殖技術の開発が急務となっている。水産総合研究センターでは、研究を進め安定採卵技術の開発に取り組むほか、受精卵のゲノム情報の分析を進めることにより産卵に関与する親魚尾数や同一個体の産卵回数・多回産卵の有無といった知識を把握し、太平洋クロマグロの資源管理のための資源評価の精度を向上などに利用するとしている。

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