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ソニー経営方針説明会—「14年度は構造改革を徹底、15年度から成長フェーズ」

2014年05月22日 21時30分更新

文● 大河原克行

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「今年度は、テレビ事業は黒字化に持っていける」

 説明の最後に平井社長は、「今日は、ソニーが高収益体質企業になるために取り組んでいく姿勢を示した。今年度中に、やるべきことをやらないと、中長期の戦略は描けない。繰り返しになるが、2014年度は、その後の成長のために、私自身の責任として、エレクトロニクス事業の構造改革をやりきる。構造改革の先送りはしない。2015年度の成長のために、エンターテインメント事業と金融事業の収益基盤を一層強化し、エレクトロニクス事業のコア3事業のトランスフォーメーション施策を確実に実施する」と語った。

 やはり課題となっているのはテレビ事業だ。

 テレビ事業は、7月にソニービジュアルプロダクツ株式会社として分社化することになり、責任と権限を移管。10年連続のテレビ事業の赤字からの脱却を図る。

テレビ事業は、7月にソニービジュアルプロダクツ株式会社として分社化

 「10年連続のテレビ事業の赤字という事実は大変重く受け止めている。2年前から、数量拡大政策を抜本的に見直し、パネル調達コストも大幅に削減し、開発、設計の固定費削減も進めてきた。昨年度に比べると赤字幅が減っている。いい方向にあると考えている。事業部の中のコスト構造は強いものになってきた。その上で分社化の道を選び、効率化をあげていく。必要なものを持っていって、不要なものは本社に置いていってもらうことで、効率性とスピード向上が図れる。

 商品づくりにおいても、4Kや2Kのハイエンドモデルは好評であり、今年の商品も強い。ソニーらしい商品が出てきたという声もある。コスト構造改革や、本社および販社の改善効果もある。年間1600万台の出荷計画は強すぎるという声があることも知っている。台数の減少はあっても、市場の変化に対応できる体質となっており、損益インパクトは最小化できる。想定外の事象にも対応できると考えており、今年度は、テレビ事業は黒字化に持っていける」と言い切った。

 また、「テレビ事業を売却するといったことや、収束することは考えていない。また、資本提携などの動きについては否定するものではないが、現時点で、そうしたものを想定したビジネスをしているわけではない」と断言した。

コンテンツを楽しんでもらうためのサービス、
商品以外のエコシステム

 「テレビ事業のみならず、エレクトロニクス事業全体をみると、ハードでビジネスをするだけでなく、コンテンツを楽しんでもらうためのサービス、商品以外のエコシステムを作っていくことも大切である。プレイステーションビジネスはそうした仕組みができているが、スマートフォン事業、デジカメ事業にもそうした仕組みが必要だといえる」とした。

 さらに、「ソニーでは、現場先頭というように、現場でのセルスルーや店頭訴求、強力な商品開発につながるといった取り組みが重要である。本社は小さくして、必要なタレントは現場の近くで活躍してもらうことが、商品力、営業力につながる」と語った。

売却したVAIO事業について言及

 一方で、平井社長は売却したVAIO事業についても言及。「VAIO事業は大変重要な事業であり、大切なブランドであった。しかし、ここ2年間の大幅な赤字と市場変化を踏まえ、大変厳しい判断であったがPC事業を収束することを決断した。日本を中心とした一部事業については、VAIO株式会社に事業を譲渡する。

 新会社において、VAIOによるPC事業が再生し、VAIOをご愛顧いただいている期待に応えてくれることを心から祈っている。

 また、我々としてもこれまで商品を購入したいただいた方々のアフターサポートを継続し、事業移行がスムーズに進むようにサポートしていきたい」と語った。


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